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『100万回 言えばよかった』秀逸な表情に涙、想像させる奥行きとバランス

TV 公開日:2023/03/09 62
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井上真央に向かってぎこちない韓国語で「あなたを愛しています」という松山ケンイチ。微妙な顔の井上。「ダメだ なんか違う」「メガネかけてたかも」と提案する菊地凛子。「イケちらかしたらどうすんだよ」と嫉妬する佐藤健。イケ散らかす松山。


菊地が「メガネかけてなかった」と言うと、佐藤がすぐさま反応して「はい 外して」と松山に指示。Yシャツのボタンも一番上まで閉めさせ、イケちらかしを封じようとする。菊池と佐藤の間で一緒になって話し合うインパルス板倉…
豪華で楽しいシーンで一息入れたのも束の間、つらくて愛おしい感情が静かに押し寄せる。


【画像】第9話カットを見る



金曜ドラマ『100万回 言えばよかった』(TBS系、毎週金曜よる10時 ※10日は放送時間変更の可能性あり)第8話で、直木(佐藤健)は「消えたい。いや~まだダメだ」と幽霊の先輩・マーさん(板倉俊之)に弱音を吐く。事件の真相が明らかになれば、直木は消えてしまうのか。その予感が、コミカルなシーンを挟みながらも顔を出す。俳優陣が見せる表情の余韻が複雑な思いを想像させる。


ハヨン(シム・ウンギョン)の夫・ウジンを事故に巻き込んで死んでしまった原田さん(菊地凛子)。


ハヨンの気持ちが少しでも軽くなるよう、夫に言いたかったことを“言わせてあげたい”と、ウジンにそっくりな魚住(松山ケンイチ)にウジンのふりをしてもらって、ハヨンが気持ちを伝えるシチュエーションをつくる。その相談をしているのが記事冒頭の場面。
ハヨンが入ってくると、キッチンに隠れた幽霊3人(直木、原田さん、マーさん)の顔が並んでいるおかしな構図にほっこり。わざわざ隠れなくても見えないけれど、堂々と近くで見ているのもきっと違う。ファンタジーな設定の中でも、そこにある思いは切実でリアル。心配そうに見つめる原田さんの表情からは、真剣な思いが伝わってくる。


悠依とお酒を飲んで夢見心地のハヨンに作戦決行。魚住には「“言いたいこと言って”って… 顔で!」と無茶な指示が原田さんから飛んできて、魚住は菩薩顔。「本当はね 会った時から 大好きだったの」「言っちゃった」と笑うハヨンの笑顔はとんでもなくキュートに輝く。夫のふりをして魚住が「僕も ハヨンといられて幸せだった」と韓国語で言うと、ハヨンの目にみるみる涙がこみ上げ「うん」と噛みしめ、「わたしも」と笑って涙があふれる。


その様子を見つめる悠依、直木、原田さん、魚住の表情はそれぞれ少しずつ違う。眠り込んでしまったハヨンを見つめる原田さんは、願いが叶ったけれど、この尊い感情を目の当たりにして謝罪の気持ちを改めて大きく感じたのではないか。思いつめたような表情が想像させる。悠依はハヨンの気持ちや立場に近く、直木は思い残しを解消しようとする原田さんが自分と重なる部分がある。ウジンのふりをして優しい顔をつくっている魚住は、振り回されながらも寄り添う空気を纏っている。


「原田さん…消えそうです」と魚住が悠依に伝えると、「えっ!?」と驚く悠依。単なる驚きだけでなく、やがて訪れるかもしれない直木のその瞬間を想像してしまうだろう。直木もまた自分に置き換えて見ているはず。消えそうな原田さんを見つめるそれぞれの表情とこれまでのストーリーが重なっていく。「みなさん ありがとう さようなら」と明るく言って消えた原田さん。直木の潤んだ目にも、戸惑ったような悠依の表情にも、奥にはいよいよその時が近づく覚悟があるように見えた。


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