もう一つ、気になるまま余韻を残しているのは、想(目黒蓮)の母・律子(篠原涼子)に妹の萌(桜田ひより)が放った「自己満足」という言葉。
律子が「聞こえる人と関わると傷つくから」「変に刺激になる人と関わらせたくないの」と話すと、萌は「それは お母さんの自己満足だよ」と言った。つらそうな表情をしながらも意志を持って言った萌。それを聞き、無言になる律子。高校のときの友達とまた交わるようになって楽しそうな兄を見て嬉しい妹と、「高校生のときみたいには いかない」と案じ、静かに落ち着いた生活をしてもらいたい母。どちらも想を大切に思っていることに変わりはない。
“自己満足”というのはちょっとマイナスな響きに聞こえるかもしれないが、人を思うがゆえの“自己満足”は明るい未来を生むのだと、第7話は示してくれたようにも感じた。
紬が奈々をカフェに呼び出して、「今の佐倉君がいるのは 奈々さんのおかげなんだなって思って。私に感謝されても 全然 うれしくないと思うんですけど。でも 伝えたくて。」と話す場面がある。お礼を言って、ずっと心配していたことを伝える。奈々に何か質問するでもなく、何かをお願いするわけでもなく、奈々を喜ばせるわけでもなく、ただ自分の気持ちを伝えること。それは、紬の自己満足とも言えるだろう。でも、そうやって相手への思いがまっすぐに伝わることによって、奈々は「すごく愛おしい」と感じ、想が紬に対して抱く気持ちを理解した。
奈々と想が図書館で話すシーンでも「自己満足」という言葉が出てくる。想が「奈々に手話教えてもらって ほんとによかったと思ってる」と話すと、奈々は「想くんのために教えたんじゃない 私と話してほしかっただけ 私の自己満足だよ」と答える。「自己満足」という言葉を使って、想へのまっすぐな思いを伝えている。奈々のその“自己満足”がなかったら、想は“音のない世界は悲しい世界”だと思ったままだったかもしれない。
第5話で「誰のせいでもないことが 一番やっかいなの」と言った律子。いろんな経験をして出てきた律子の言葉は重い。それでも、萌に「自己満足」だと言われた律子の思いが、想とまっすぐに向き合ったとき、優しく着地できる答えがあるといいな…と願わずにはいられない。
15分拡大となる第8話では、それぞれの家族の様子も描かれるようだ。
距離の縮まった紬と想もまた、“伝えたい、伝わらない”思いがあるようで…。「久しぶり」と再会した奈々(夏帆)と春尾先生(風間俊介)の続きや過去も気になる。第8話もゆっくりと『silent』の世界を味わいたい。
文:長谷川裕桃
【前回のコラム(第7話の全体はこちらで】『silent』目黒蓮のハグシーンが回収する温かさ、視線の会話と“まっすぐ”な言葉
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