『silent』目黒蓮のハグシーンが回収する温かさ、視線の会話と“まっすぐ”な言葉

TV 公開日:2022/11/28 37
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声も、手話も、どちらでもなくても…

1週お休みとなった木曜劇場silent』(フジテレビ系)。第7話ラストシーンの突然のハグというドキドキする余韻を残しているが、このラストシーンもまた、第7話で描いてきたことの一つの答えのように感じている。




「開始1分」をトレンド入りさせた第7話冒頭には、青羽紬(川口春奈)、佐倉想(目黒蓮)、桃野奈々(夏帆)がいた。セリフはない。想の前で泣く奈々。少し離れたところからそれを見ている紬。紬はつらそうな顔で想を見つめ、想が気付いて紬に目をやる。その視線に気づいて、奈々が紬の方を向く。奈々の視線を受けて、紬は気まずそうに目を逸らし、去っていく。紬の背中を想がやるせない思いで見つめながら、反対側に歩いていく奈々を目で追いかけるものの、奈々が振り返って見たのは、紬のもとに駆け寄る想の背中だった。悲しい視線を落として歩き出す奈々の背中。この1分30秒間で視聴者が号泣してしまうほど、三者それぞれの飲み込んだ思いや届かない気持ちが視線と背中で表現されていた。


そんな始まりから、第7話で描かれたのは、想と奈々の関係の着地点のようなもの。第6話で想と奈々の出会いが描かれ、耳が聞こえなくなった想に「音のない世界は悲しい世界じゃない」と未来を照らし、「聴者もろう者も同じ」と言って“同じ”という意味の手話を教えた奈々の存在の大きさを理解する。しかし第6話ラストで奈々は、聴者もろう者も中途失聴者も「誰も分かり合えない」と言い、叶わない夢や聞こえない現実に涙していた。それをもう一度、丁寧に、あたたかく修復してれたのが第7話。サブタイトルは「自分にだけ飛んでくるまっすぐな言葉」。


序盤は“まっすぐ”ではなかったように思える。
公園のベンチで紬は想に「(奈々と)何話したの?」と聞かれ「大丈夫」と答える。奈々が泣いていたのは「私のせいかもしれなくて。分かんなくて」とつぶやくものの、想には伝わらない。「関係ない」と言われ、想は巻き込んで申し訳ないという気持ちで言った言葉も、紬にはどこかひっかかる。ファミレスでは、想がメニューを見ている時に「よく話したよね…」とつぶやく紬。想に「声でしゃべらないの 何で?」と尋ねると、空気が変わる。紬は理由があるのか気になっただけだが、想はスマホに「声が好きなんだもんね」と打って、紬には見せずに打った文字を消去する。届けるのをやめて引き返したり、思ったように届かなかったり。それが聴者とろう者の“同じでない”難しさにも見えた。


しかし紬は、湊斗(鈴鹿央士)や真子(藤間爽子)と話すなかで「嫌なことの理由って わざわざ言いたくないこともある」「少ないって“いる”ってこと」という客観的な視点を素直に受け取って、まっすぐに言葉を届けようとする。


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