そこには現代社会の持つ閉塞感への問題提起も含まれている。
「いまってやる前から諦めてしまうことって多いですよね。『傷つく』とか『傷つけられた』という言葉を使う人ってとても増えていると思うんです。でも私が若いころって、傷つくって自己鍛錬ではないですが、自分が強くなったり賢くなったりするためには必要なことだと肯定的に捉えられている部分があった気がするんです。大人も『傷ついてもいいからどんどんチャレンジして失敗すればいい』と寛容だった。若い人にもそういった安心感があったと思うんです。いまのように失敗しないように、傷つかないように……という選択ばかりだと、どこかで大きな傷を負ったときに対処できるような人間力が育たないのではないか、という危機感があります」
第4話ではゲリラ放送後が描かれた。確かに、上司からダメだと言われているVTRを流すという“とんでもないこと”をしてしまったが、テレビ局内ではあまり大事にはならなかった。しかし一方で、再審請求が棄却されるなど、恵那たちの前に立ちはだかる具体的な障壁も明らかになってきた。
「4話目以降は『やればできるんだ』と目覚めてしまった人たちが、どうやったら前に進めるか突き進んでいく姿が描かれると同時に、具体的に障害となるハードルが現れていきます。そこをどう突破していくかを、登場人物と一緒に体験していってほしいです」。
第4話のラストでは、冤罪事件の発端となったチェリーの衝撃的なシーンで物語は終わっている。
「一応、第5話で物語の一幕が終わり、第6話から新たな展開になります。ここから週刊誌の記者や編集長、刑事などさらにキーマンとなる人たちが登場します。人って既存のものが壊れてしまうことに恐怖を感じてしまうものなのですが、壊してみたら、新たにもっと良いものが生まれたりすることも多々ある。そういったことをこのドラマで疑似体験してほしいという思いがあります」。
「破壊と再生――」渡辺が発言したこの言葉が、今後の物語のキーワードになりそうだ。
取材・文:磯部正和
■『エルピス―希望、あるいは災い―』
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