大反響『エルピス』脚本家・渡辺あやが作品に込めた思い「傷つくって自己鍛錬」

TV 公開日:2022/11/14 14
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放送開始後、大きな反響を呼んでいるカンテレフジテレビ系 月10ドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』。冤罪の疑いのある12年前の連続殺人事件を追うテレビマンたちの姿が描かれている本作は、ミステリー要素だけではない重層的なテーマに、SNS上でも、議論が活発になっている。物語の発端となった告白をしたチェリー(三浦塔子)の衝撃展開で終わった第4話。脚本を担当する渡辺あやが、5話目以降の展開や、作品への思いを語った。



企画の始まりは2016年。当時TBSに在籍していた佐野亜裕美プロデューサーと共にいくつかの冤罪事件のルポを読み、ショックと共に問題意識を持ち始めたという渡辺。

 


「この国に生きている以上、すごく公正に裁判が存在し、事件の捜査にしても正しく行われていると信じたいという思いがあったのですが、必ずしもそうじゃないという事実に、不安と興味が湧いてきたんです。いまの日本でも普通に起きていることかもしれない……という思いによってドラマにする意味があるのかなと……」。

 

物語は、12年前に起きた連続殺人事件で逮捕され、最高裁で死刑が確定している男の冤罪を証明しようと動くテレビマンたちが描かれる。その中心となって行動するのが、眞栄田郷敦演じる若手ディレクター・岸本拓朗から相談を持ち掛けられた女子アナの浅川恵那。恵那は、人気女子アナだったものの、スキャンダルによってニュース番組のサブキャスターを降板させられ、製作者の墓場と言われている深夜情報番組「フライデーボンボン」のコーナーMCへと移動させられた女性。演じるのは長澤まさみだ。

 

「最初に恵那という人物を考えていた時に浮かんだのが長澤さんでした。恵那は肉体と精神のバランスが崩れていて、表情が豊かなときと、落ち込んでいるときの落差が激しい。特に恵那はどん底の状態からスタートする女性なので、伸び幅が軽やかに表現できる人という部分で長澤さんが最適なのかなと感じたんです。お会いして明るさだけでなく、やや影のあるような部分も感じられて、とても人間的に魅力のある方だなと感じました」。

この言葉通り、恵那は前半戦、過去のスキャンダルによる躓きだけではなく、テレビというマスメディアの功罪に悩む表情など、苦悩に満ちたシーンが多い。長澤の迫真の演技は「グッと引き込まれる」「どれだけ辛い日々だったのだろう」と視聴者も感情移入しきりだ。

 

そんななか、第3話のラストでは、ゲリラ的に「フライデーボンボン」のコーナーで、冤罪事件に迫るVTRをオンエアしてしまう。

 

「第2話までは、恵那や拓朗が冤罪事件を取り上げようとしても、周囲は『そんなことはできるわけがない』と取り付く島もなく、本人たちも無理だろうという思いが強い。それが第3話になって『無理だよ』と思っていた人たちが『もしかしたら……』と思い始めて、風向きが変わっていくんです。そしてラストで、ゲリラ的にオンエアでVTRを流してしまいます。『絶対ダメ、無理だ』と思っていることをいざやってみたらどうなるのか、シュミレーション的に描いてたみたかったんです」

 

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