番組公式SNSのフォロワー数はInstagramが106万人、Twitterも51万人を突破(2022年11月10日現在)。Twitter世界トレンド1位が続き、見逃し配信では、番組全体の週間再生数でTVer初の1000万回超えを記録。近年の連続ドラマの中でも、桁違いの数字を叩き出している木曜劇場『silent』(読み:サイレント、フジテレビ系)。
【最新レビューはこちら】『silent』名シーンで描かれる“過去”の意味、目黒蓮が見せる明暗と想い
丁寧でリアルに響く脚本と心に残るキャストの芝居、美しい画とこだわりの演出が合わさって、毎話視聴者の心を揺さぶっている。
先週の第5話は、3年間付き合った紬(川口春奈)と湊斗(鈴鹿央士)が恋に終止符を打つ様子が、ほぼ丸一話かけてじっくりと映された。それとは対照的に、想を演じる目黒蓮(Snow Man)は短い登場シーンで瞬間的に表情で思いを表し、ノートをめくるラストシーンでは繊細な感情の移ろいと輝きを見せた。その両方があったからこそ、第6話へ進んでいけるのだと感じた。
ドラマの公式ホームページのイントロダクションには「主人公の紬が、本気で愛するも別れることになってしまった高校時代の恋人・想と8年の時を経て偶然の再会をはたし、そこに待ち受けていた現実と向き合いながらも寄り添い、乗り越えていこうとする姿を丁寧に描いていくラブストーリー」とある。その“丁寧に描いていく”という部分が、紬と湊斗の別れからもよく分かる。
第4話で湊斗から別れを告げられた紬。第5話の冒頭で、改めて湊斗に「別れよう」と言われても首を振り続ける。
そのつらさを親友の真子(藤間爽子)は何も言わず受け止めた。翌日、紬がマンションで目を覚ますと窓からは朝の光が射している。紬の心に寄り添うような切ないピアノのメロディはそのまま続いているけれど、次の朝がやってきている。
朝食を食べながら紬がイヤホンで聴いている音楽はスピッツの『みなと』という曲。音楽を止めて、紬は湊斗に電話する。お気に入りのパジャマを今日着たいのだと言って。精一杯明るく電話して、ちょっとわがままっぽく言って、切った瞬間表情が陰る。一人朝食を食べる背中が寂しい。その背中を画面で引き継いだ湊斗の背中も寂しい。
紬が荷物を取りに行くと、湊斗は「紬」ではなく「青羽」呼びに。目も合わない。紬は今「片思い」なのだといった。それでも聞いてしまう。「ね~どうする?」「別れる?」「これってもう別れてるの?」。しかし自分で片思いだと言ったことを指摘され、「ホントに片思いなんだ」と実感する。
キャリーバッグを閉め、「次の人」というワードを聞き、「(荷物)一人で全部持てる?」という湊斗の“練習ではない”突き放す言葉を受け取り、そっと手が離れた。紬は荷物を取りに来たシーンで最初は「湊斗」と呼んでいたが、好きになった時のことを思い出して「戸川君って そういう人だよな」と言った時から、それ以降この一連のシーンでは「湊斗」と呼んでいない。片思いを実感し、少しずつ別れの現実が紬に見えてきている。その現実は、第三者である春尾(風間俊介)と話すことで、さらに実感として押し寄せる。同時に「無意識に名前出ちゃうくらい ホントに好き」だったことも実感してしまう。紬の気持ちの大きさは、第三者である親友・真子が湊斗に語ることでより確かなものに。湊斗もまた、紬の気持ちへの見方が少し変わったかもしれない。