耳が聞こえなくなってから、想が家族以外で初めて声を出して話した相手は、紬ではなく湊斗だった。
文字起こしアプリを使って昔のように楽しくおしゃべりをして、「みんな全然変わんないよ。ホントそのまま」と報告しながら、湊斗はついそのまま立ち上がってキッチンへ行っても話し続ける。タブレットの文字は止まったまま。想には届かない。
湊斗の声も聞こえない無音の演出は、想にとっての静寂の世界を映し出す。
その静寂をやぶったのは「湊斗」と名前を呼ぶ想の声。
きっと何かを話し続けているであろう湊斗の背中を見ながら、どうしようもなく切ない表情を浮かべる想は、一瞬で何度も迷い、声を出すことをためらい、それでも湊斗のいる音のある世界に歩み寄る。
想はこれまで、何か湧き上がる感情があってもそれを伝えることをあきらめたり、それでいいと思おうとする複雑な表情をさまざまなシーンで見せてきた。湊斗に「俺も紬も好きで一緒にいるから 任しとけ」と言われた時も、手をつなぐ湊斗と紬を見て寂しい目をした時も、気持ちをひとつ飲み込んでいるようだった。そんな想が湊斗の名前を呼び、湊斗が紬を託すようなことを言ったときには「耳 聞こえないんだよ」と涙を流しながら声で伝える。奈々(夏帆)に湊斗のことを尋ねられたときも、両手を大事そうに握りしめた手話で「友達」だと教えていた。湊斗の存在を大事だと思うからこそ、その思いを受けて想はここから紬に対してどう向き合っていくのだろうか。声を出したような一歩を踏み出すのだろうか。
想と話す紬の横顔は、確かに可愛い。フットサルの練習前「青羽も試合するの?」と想が紬に尋ね「同じチームは嫌だよ」「なんでよ(笑)」と言い合うシーンは、理屈なしにやっぱり似合っている。でも紬が湊斗のことを”意外と本気で”好きなのも本当のところなのだろう。その一瞬で伝えられるニュアンスと、丁寧な歴史の輝きは、簡単に比べられるようなものではない。そう思わせてくれるドラマなだけに、この先どんな展開を見せるのか楽しみでならない。番組のプロデューサーは「5話は、僕たちが目指してきたことの集大成のような回」とTwitterで告知している。今夜の第5話に注目だ。
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