『silent』何度も出てくる言葉が切なさ増す?優しくて苦しい“大丈夫”

TV 公開日:2022/11/03 38
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「大丈夫」――。
優しくてもろい言葉。安心させ、背中を押し、心配させ、覆るたびに苦しい。


毎話切なさに涙し、言葉の意味に思いを馳せ、何度も見て深く味わいたくなる木曜劇場silent』(フジテレビ系、毎週木曜よる22時から)。本作は、主人公の青羽紬(川口春奈)が高校時代の恋人・佐倉想(目黒蓮)と“出会い直す”ラブストーリー。8年前突然別れを告げた想は、病気で聴力を失っていた。紬には、想の友達でもある戸川湊斗(鈴鹿央士)という彼氏がいる。先週の第4話は、湊斗の「大丈夫」が胸をしめつけ、想の心を少し動かしたようにも感じた。



いつも「大丈夫?」と周りを気にかける湊斗。しかし、湊斗が「大丈夫」と言うとき、どうしても切ない気持ちになってしまう。


想の背中に呼びかけても声が届かなかった。昔のように、聞こえないふりをしてしばらくして振り返ってニヤリと笑う、あの想はもういない。高校の頃のシーンがキラキラしてかけがえのない時間だとわかるから、紬の前で泣き崩れた後「大丈夫だから」と言っても、それは相手のための「大丈夫」でしかないように感じる。


「あの2人(想と湊斗)は ちゃんと話せば大丈夫。大丈夫」
紬は弟の光(板垣李光人)に言った。

「なんか食べに行ったなら大丈夫」
想は、紬のことを湊斗にそう言った。

二人の言葉は直感的で、湊斗の「大丈夫」とは対照的に響く。ドラマの描かれ方も、紬の言葉の後に、フットサルと古賀先生の話題で談笑する想と湊斗が映され、想の言葉の後に、光とハンバーグを食べる紬の姿が映された。


「病気のこと黙っててごめん」「心配かけたくなかった」と伝えた想に、湊斗は「大丈夫。大丈夫、わかってる」と言う。そして「紬、大丈夫だよ」「この3年、ずっと一緒にいたけど全然大丈夫」と紬のことを話す。
想をフットサルに誘った時も、「こうやって想と会って、話して、大丈夫だなって。みんな元に戻れるなって。戻れたら俺は嬉しいなって」と伝える。
光に「手話を覚えたら?」と話すときも、友人に「通訳さんが待ってる」と伝えるときも「大丈夫」という言葉を使っていた。


それが…
ラストに湊斗が想に言ったのは、
「この3年、本当は楽しくなかったと思う」
「紬、想の横にいる時が一番かわいいんだよね」
「言ったじゃん、みんな戻れると思うって。戻れたら 俺は嬉しいって」。
これまで「大丈夫」と言ってきたものが、湊斗の苦しい気持ちを伴っていたのだと思い知らされる。


それでも想に、「呼んであげて。紬も「紬」って。喜ぶから」と声に力を込める湊斗。
自販機でイタズラでとっさに紬の好きなコンポタを押す想に、「もぉ~~」と笑い、ニヒヒヒと笑い返す想のシーンは、昔の感覚を思い出して嬉しいと同時に、紬の大好きなコンポタを押してしまう想と自分の違いを変わらなく感じてしまったのかもしれない。冷めたコンポタを紬に渡して、「別れて欲しい」「好きな人がいるから」と告げる。想が紬に別れを告げた時と同じ言葉で。


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