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『石子と羽男』中村倫也の割り込みに感情バグる「神シーン」第1話から繋がる軌跡

TV 公開日:2022/09/15 0
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放火の疑いで逮捕された大庭は「自分がやった」と供述。それ以外は黙秘していたが、その重い口を開かせたのは石子の手紙だった。今までも法廷や交渉の場で石子の“台本”を羽男が読み、二人の映像がリンクしながら案件解決に向け進んできたが、その演出が第9話の大庭への手紙で使われる。


その手紙がまた数々のシーンを想起させる。大庭が依頼人として登場した第1話で職場の友人を助けようとしたことはもちろん、例えば「何かを説明しようとするけど 気持ちが先に立ってうまく説明できない姿」という部分一つに対しても、第2話で石子に傘を差しだし「とあるマタニティーの話」でオチを先に言ったり、「いちごパンツです」と話し出したり、第4話で石子に同行したくてクリーニングのタグの話から始めたり…といくつものシーンがあれこれと浮かぶ。
大庭を信じる理由が、これまでの日々の積み重ねであることが温かく、それがしっかり描かれてきたことを実感する。


しかし、手紙の中の石子の言葉には、変化や歴史を感じるなかでドラマの第1話から一貫して変わらないメッセージがあった。

「声を上げていただかなければ お手伝いすることができません」

第1話で、職場のパワハラに苦しむ同僚とともに声を上げられずにいた大庭たちに石子は言っていた。

「なぜ 声を上げないんですか?」「声を上げていただかなければ お手伝いできません」

ドラマのメッセージはブレない。真面目に生きる人の傘になるというモットーも変わらない。


第9話で大庭の弟・拓(望月歩)は、偶然放火現場に居合わせた。


たまたま実家に寄った大庭のジャンパーを着ることも、夜の散歩に出かけることも、生まれつき人と接するのが苦手な拓にとって決して特別なことではない。ここで思い浮かぶのは、石子が第7話で話したトラウマ。司法試験当日に偶然目の前で事故を目撃してしまったこと。日常のなかで偶然起こったことが、その後の人生を大きく狂わせてしまうことがある。ここまでのドラマの描かれ方も、身近なトラブルに端を発し、それが大事になったり、大きな問題をあぶり出したりしていた。その流れの中で、事件に巻き込まれた大庭兄弟の絆が描かれた。兄は弟を守ろうとしてして口を閉ざすが、石子と羽男を信じて声を上げる。その声に耳を傾け、あきらめずにコツコツ調査を続ける石子と羽男。弟は兄のために昼間の道路に飛び出す。それが結実し、大庭は不起訴となった。


ラストに待っていた3人のハグシーン。スローモーションで大庭が石子に手を広げて飛び込もうとするところに、吹き出してしまうほどの満面の笑みでふわっとフレームインしてきた羽男。泣けるシーンなのに笑わずにはいられない感情バグる名シーンは、前のシーンで大庭の不起訴を知らせる検事からの電話に深々と頭を下げる羽男と石子の姿と、ハグを邪魔された石子と羽男が言い合うのを愛おしそうに見つめる大庭の表情や二人の肩を握る大庭の指の動きだけでも感動は十分すぎるほどに伝わる。日向さんの遺書に「これからは笑って生きて」と妻へのメッセージがあったが、このシーンに大胆な笑いを持ってきたのももしかしたらそんなメッセージが込められているのかもしれない。


それでもまだ、大きな問題が残っている。弟・拓が事件現場で目撃した「もう一人」とは誰なのか。石子の父・綿郎(さだまさし)が追っている不動産投資詐欺案件とどうつながっていくのか。これまでのシーンが根拠となり、深みとなり、見応えとなっていく隙のない脚本(※注 遊び心はふんだん)。最終話ではどの一つ一つのパーツがどのようにつながっていくのか、楽しみでならない。


文・長谷川裕桃


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