『石子と羽男』一瞬で心を掴む有村架純&中村倫也、魅了する会話と“希望”

TV 公開日:2022/09/02 0
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些細なことが分岐点となって人生が変わる。
ひなが石子たちと出会い、少しずつ心を開くきっかけもきっと些細なことからだろう。


つながりができた以上はそのまま帰すわけにはいかない、と石子はひなを自分の家へ。


石子の父・綿郎(さだまさし)が作ったチャーハンのグリーンピースを避けながら食べるひなを見て、綿郎は大皿のチャーハンのグリーンピースをよけはじめた。丁寧に用意された朝ごはんには、「ひなちゃん よかったら」と綿郎の似顔絵入りのメモ書きが添えてある。自分への愛情のつまった“些細なこと”がひなの心を溶かしていったに違いない。第6話でも同じようなメッセージを感じた。双子の息子を持つ親である高梨さんの妻が「大丈夫?荷物持つよ」とスーパーでかけられた一言が救いになったことや、妻の負担を少しでも減らせるように、子どもを風呂に入れたあと保湿クリームを塗るまでやろうと夫が小さな努力を誓う場面も。思いやりのこもった些細なことが、誰かの人生にとってはとても大事な救いになる。


ずっと友達をつくらなかったひなが美冬と友達になるきっかけは、コンビニのおにぎりを開けるのが下手すぎて意気投合したこと。やはり些細なこと。聞き込み中の石子と羽男に声をかけられ、そこから美冬は父親を訴える決意をし、二人は都民シェルター支援センターの前で石子と羽男に深々とお辞儀をする未来へ。そう思うと、このドラマ自体も、毎回一つの身近なトラブルがきっかけとなって、やがてそこに内包する問題が浮き上がり、それが社会問題へとつながる。些細なトラブルから始まって、石子と羽男が関わって、その人のこれからの生き方や気持ちが少し変わる。「人生」って…些細なことで変わると思うんです――。石子の経験と期待が、このドラマを動かしているように感じる。



「私たちとの遭遇で 彼女達の人生を 少しでも変えられるかもと 思いませんか?」という石子の問いかけに、羽男は「そうだね…」と言ったが、複雑な響きをしていた。「ただ…俺は期待しすぎない」と言った羽男は、石子の思いと現実の厳しさを両方抱えているように見えた。最初に石子に出会った頃の羽男だったら、もしかしたらこんなに複雑な響きにならなかったのかもしれない。きっともっと手前であきらめていただろう。しかし、石子と出会って思いにふれ、相棒としてともに歩んでいく中で、人が前を向いて歩きだす瞬間を見てきた。もともと持っている優しさや愛情深さに覆いかぶさっていたコンプレックスも少しずつ剥がれ、石子のような期待を信じたい気持ちも、石子と一緒にそれを叶える自信もちょっとずつついてきたからこそ、期待しても叶わないことが多かった過去や現実が苦しいのではないだろうか。RADWIMPSの主題歌『人間ごっこ』のサビのフレーズが、羽男の気持ちやドラマ全体の思いを掬いあげているように聞こえた。


父親を訴えるという美冬からは「もう…逃げないで戦います」という言葉。その言葉を病室の外で静かに聞く石子の姿。
「弁護士としてはほめられたことじゃないですがね ただ…大人の一人として どうにかねぇ」と少女たちにお金を貸す綿郎の背中。
石子の強い思いを受けて関わった少女たちを笑顔で見送る石子と羽男。
二人にとっても、そんな事実が、勇気や希望になっていることを願いたくなった第7話だった。


いやいやいや、その名刺何?「代表取締役」?ナカマルじゃないの?…とラストに一瞬で話題を持っていった大庭くん(赤楚衛二)が心配で仕方ないが、さて第8話はどんな展開が待っているのか。


些細な瞬間も見逃さずに、楽しみたい。


文・長谷川裕桃


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