―第 25 回では頼家も妻と子がいながら別の女性を妻にしようとするシーンがありました。
女好きは思いっきり継いでますよね。それを「女好きは我が嫡男の証だ」なんて、あれはバカなシーンでしたね。「頼もしいぞ」とか言って、バカだなと(笑)。なぜ三谷さんはここまで頼朝をダメに描くんだろう。厳しい決断を政治家として下していくのはいい。だけど本当に幸せそうな八重に向かって昔の話をさんざんする、あのシーン(前出・第 21 回)は大変でした(笑)。こんなところまで(器の)小さを表現するのかと。ドラマ本編が 43 分しかない中で、ここにその尺割きます?っていう。だったらもっと他の人描いた方がいいのではと。聞いちゃったもん、「(頼朝は)なんでこんなこと言うんですか?」って。「いや、単純に腹が立っただけ。幸せな八重を見てイラッとしたんじゃない?」だって。理解できなかったです(笑)
―頼朝が死に向かっていくあたりの台本を見た感想は?
面白いと思いました。一人の、権力の頂点に上り詰めた人がどんどんダメになっていく。巻狩りの最後でも口にしていましたが、どこか天にも見放された気持ちになってきて、どんどん自分の犯してきた、罪、、とは言いたくないけど、たくさんの人を排除してきた男が、そこに苦しめられていくというか、その亡霊に苦しめられていくというか。25回の頼朝は精神分裂気味の人になってしまったのかなと思っていました。突然、巴御前のところに行って、義仲を討ったことを申し訳ないって思っちゃった。その気持ちも分かる気がしました。死ぬ直前に今まで自分がやって来たことを謝りたくなるような気持ちでした。
―これまで主要人物が亡くなると「○○ロス」とSNSが沸いてきましたが、頼朝の死はどう受け入れられると思いますか?
好きに受け取ってほしいです(笑)どう思うんでしょうね。あまりにも頼朝はひどく描かれてますからね。頼朝が倒す相手はものすごくいい人に、とにかく性格良く描いてるから、そりゃ頼朝が悪く見えるし、「ひどい殺され方してほしい」なんて言われてしまってる(笑)。でも僕は、実にシンプルというか、素直に頼朝の最期が描かれていて、とっても面白いなと。25回では馬から落ちて、そのあとの 26 回もまた、三谷さんらしいですよね。頼朝がただ寝てるだけっていうのは面白いなぁと。寝てる頼朝の周りでどんどん動いていく。まさに劇作家・三谷幸喜の真骨頂というか。基本、三谷さんの舞台はワンシチュエーションですよね。1つの部屋があってそこで何かがずっと起きてくのを描くのが上手な方だから。大河ドラマだから頼朝の最期も大きなうねりの中で描いていきたいだろうけど、それが、頼朝が眠ってるそこだけで起きていく。小さいんだけども、今後の鎌倉がどうなっていくかの大事な話し合いが行われていく。そして頼朝の本当の最期は政子と2人で迎えましたけど、演出の保坂慶太さんが非常によく撮ってくれて、すごく美しいカットだったんです。小池栄子さんの熱演も素晴らしかった。とても印象に残ってます。こんなドラマとこんな役にはそうそう巡り会えないなと、とっても幸せだなと思いましたね。もう、こんな役をいただいて三谷さんには感謝しかないです。
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