『妻、小学生になる。』吉田羊が怖すぎると話題、上質な芝居で交わる陰と陽

TV 公開日:2022/02/17 26
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堤真一主演の金曜ドラマ妻、小学生になる。』(TBS系、毎週よる10時)。
10年前に死んだ妻、貴恵(石田ゆり子)の生まれ変わりだという小学生の万理華(毎田暖乃)の話を受け入れた圭介(堤真一)と娘の麻衣(蒔田彩珠)。一緒に水族館に行ったり、貴恵の誕生日を祝ったりと楽しそうで、小学生を大の大人が慕う姿は、はたから見ると奇妙な場面にも見えるが、役者陣の確かな演技力で物語へ引き込んでいく。家族の絆が感じられ、毎話胸を打つものがあるが、その一方で、やわらかな空気から一気にダークな現実へ引きこむのが、万理華の母親・白石千嘉を演じる吉田羊の演技だ。SNSでも「めちゃくちゃ怖い」「ホラーかと思った」「吉田羊さんの演技がうますぎて見るのが辛い」「吉田羊の実力を思い知る」と反響が。第4話はそんな吉田の演技がクローズアップされることとなった。(以下、第4話ネタバレあり)



サプライズバースデーの帰り、万理華を家まで送り届けた圭介と麻衣が乗ってきたタクシーで帰ろうとすると、正面から突進してきて有無を言わさずタクシーを止めた千嘉。車の窓をノックする仕草、「どちらさま?」と尋ねる一声だけでも空気がピリつく。おびえる圭介と麻衣の表情が緊張をあおる。


圭介が挨拶してもそっけなく、話を無視して帰る姿も人を拒否しているかのようで、感情が出ない吉田のクールな演技は得体の知れなさを増幅させる。


万理華が「お母さん、今日学校でね…」と話しかけても「後にしてくれる?」と目も合わさない。万理華は、小学校の球技大会の案内と保護者カードをテーブルの上にそっと置いた。
球技大会当日、夜勤明けで家に帰ってきた千嘉はベッドに倒れ込んだが、ふいに「今日、お弁当何がいいの?」と聞く。愛情がないわけではないのが分かり、ほっとしたのもつかの間、彼氏に誘われると遊園地へ。


アトラクションで無邪気にはしゃぎ、彼氏と話しているときは笑顔も出て仕事やママ友の愚痴を言うなど人間味を感じさせる。娘の万理華に対する顔とは全く違う顔。しかし、時計を何度も気にする様子もあり、その葛藤が振り幅の中でグラデーションを見せる。
結局、球技大会に行かなかった千嘉。クラスメイトがお弁当を広げるなか、万理華の机にお弁当はなかった。


対照的に、応援に行った圭介と万理華が卵焼きを分け合って食べるシーンは、一気に心が和む。


「あたしたち何やってるんだろうね」と二人で空を見上げ、途中、万理華が石田ゆり子演じる貴恵の姿に切り替わるが、そのままシーンが違和感なく繋がっていくのは、役者陣の巧みな演技の賜物だろう。

その後、千嘉の彼氏が妻子持ちと分かり悲しい現実は加速。罪滅ぼしの遊園地なんて「頼んでねえよ、そんなこと!」。


裏切られた怒りと女としての悲しみが強い言葉で発せられ、土下座する彼氏を見て笑う吉田の表情は、その場の怒りだけではない苦しみの蓄積や虚しさを感じさせた。


万理華がスマホで圭介と話しているところに「誰と話してるの?」と千嘉の声。雷鳴とともに姿が映され、雨に濡れた風貌もありゾっとするような怖さ。今度は事情が分かっているからこそ、恐怖を増長させる。暴れ出した千嘉の様子を感じて、圭介が万理華のもとに駆け付けた。



貴恵の笑顔のために“できることがあるなら、今 力になりたい”。圭介の妻への愛情は、素敵で危ういほどまっすぐ。圭介は、万理華を「他人じゃない」と言い、凄まじい形相で「あなたが彼女を大事にしないなら、彼女は僕が引き取ります!」と言い放った。


ドラマの中では、ダークな現実も、陽だまりのような現実離れした設定も、その間で生まれる歪みや一歩下がった視線もどれも絶妙に絡み合って展開していく。そのどれもが上質な演技で説得力を持つ。万理華をめぐって千嘉と圭介が対峙するこのシーンは、その両極がぶつかるようなシーン。ここから一体どんなやりとりを見せてくれるのか、物語の続きも役者陣の演技にも期待が高まる。



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