『ミステリと言う勿れ』伊藤沙莉、作品と視聴者を繋ぐ共感力

TV 公開日:2022/02/28 10
この記事を
クリップ

現在放送中の月9ドラマ『ミステリと言う勿れ』で、男社会の警察組織のなか、自身の存在意義に疑問を持ちながら日々過ごしている女性警察官・風呂光聖子を演じている女優の伊藤沙莉。伊藤と言えば、映画やドラマなど映像作品に引っ張りだこの人気女優だが、改めて本作を観ていると、伊藤の持つ共感力の芝居のすごさを実感させられる。


風呂光は、強い信念を持って警察官になったものの、男社会の警察組織のなかでは、なかなか一個人として認識してもらえず「自分がここにいる意味はあるのだろうか」と悩みを持っている女性だ。そんななか、殺人事件の捜査で出会った大学生・久能整(菅田将暉)の、誰に対しても忖度することなく、自身の信念のもと考えを述べる強さに惹かれ、徐々に警察官として成長していく姿が描かれている。


本作のポイントは原作とドラマで、風呂光は描かれ方の違いがあること。原作では、どちらかと言えばあまり目立つ存在ではなく、淡々と描かれていることが多いキャラクターだが、ドラマでは第1話で整と出会って以来、風呂光は整にかなり影響を受けている描写が多い。


特に、2月7日放送の第5話では、事件解決のために大きな役割を果たした整が、怪我をして入院してしまった際、風呂光は整に送られてきたドライフラワーに対して「女性からの贈り物なのでは」と意識するシーンも出てくる。


また2月21日放送の第7話でも、クリスマスイブ前夜に、ショーウインドウに飾られたマフラーを見て「もじゃもじゃ」とつぶやいて購入したり、整が持っていた苺のキーホルダーがライカ(門脇麦)からの贈りものだと分かり、寂しそうな表情を浮かべたりと、回を追うごとに、風呂光の整に対する気持ちが強くなっている。


原作にはない風呂光の整へのラブモードには賛否はあるが、こうした風呂光の感情を、極力感情をそぎ落とした菅田演じる整の対比として描くことで、月9というエンターテインメント枠を成立させている。さらに言えば、この風呂光を視聴者と作品を繋ぐ共感力のある芝居が持ち味の伊藤が演じることで、一段と物語に感情移入することができるのだ。


1/3ページ

この記事の画像一覧 (全 14件)