清原果耶『ファイトソング』はラブコメの奥にあたたかさ、見えづらい恋と見守る愛

TV 公開日:2022/02/01 17
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火曜ドラマだけど、胸キュン枠ではない?

ししおどしデートに反省会、中華街デートでキス寸前、恋敵は後をつけ…
そんなストーリー展開だけ見ると、いかにも胸キュンラブコメという印象を受けるが、先週の『ファイトソング』(TBS系、毎週火曜よる10時~)第3話はむしろそのまわりの人たちの存在がドラマのメッセージだったように感じた。火曜ドラマらしく恋を中心にドラマが展開しているように見えて、大きな胸キュンというよりも、人に寄り添う温かさがじんわり伝わるシーンが多かった印象だ。(以下、第3話のネタバレあり)



事故で空手の夢破れ、耳が聞こえなくなるかもしれない病も抱えたヒロイン・花枝(清原果耶)と一発屋でクビ寸前のミュージシャン・芦田春樹(間宮祥太朗)は“恋の取り組み”を始めた。


芦田は良い曲を書くために心を動かしたい、花枝は耳が聞こえなくなる前に思い出を作りたい。それぞれ切実な目的のために始めた期間限定の恋は、デートの雰囲気や行動に二人の気持ちが追い付いていない感がある。芦田が第3話ラストで「俺もっと好きになりたい」と言って花枝にキスを迫るのも、「必死なんだよ俺」と追い込まれた焦りからのようにも見える。二人のちょっと天然で可愛いやりとりはほっこりするし、笑顔のデートも見ていたいが、二人が本当にドキドキしているのか今のところ見えづらい。花枝を見つめる愛おしそうな夏川慎吾(菊池風磨)の視線の方が、よっぽど胸をしめつける。


そんな二人の恋は心配だ。第3話は、二人を見守る人たちの温かさに溢れた回。
芦田と付き合う理由について、花枝は芦田の事情だけを話した。自分の病気のことは誰にも言っていない。でも、幼なじみの凛(藤原さくら)は引っかかっていた。「言っとくけどわかるからね、私には。」花枝にそう言った凛は、花枝が何を隠しているかは知らないし、花枝が絶対に言わないことも知っている。それでも、「なんかあるな~と私は思ってるから、そのつもりでいな」。気になっていることだけはちゃんと伝える。苦しみを花枝1人だけのものにしない。


一方、芦田はマネージャーの弓子(栗山千明)と元バンド仲間の薫(東啓介)に恋の取り組みについてあれこれ言われ、「ほっといてくれないかな、俺のこと」と遠ざけようとする。すると、二人からは「放っとくのは無理!」。なんだかんだデートのアドバイスをくれて応援してくれる。こちらも苦しむ芦田を1人にしない。


花枝と芦田の中華街デートを、‟見守り”慎吾と‟見守りの見張り”凛が尾行。送り出す穂香(莉子)も花枝に一声。一途に花枝を想う慎吾はデートの様子が気になって仕方ないが、楽しそうな二人を見ていると辛いのも確か。そんな慎吾を密かに想う凛は、わざと「やだ!絶対買う、絶対食べる!」と豚まんを可愛くおねだりし、見守り組は花枝たちを見失う。凛は慎吾と二人っきりになりたかったというよりは、慎吾にこれ以上辛い表情をさせたくなかったのだろう。「何これうまっ!」と笑顔になる慎吾と、「なっ」と最高の笑顔を見せる凛の姿にほっこりした。この二人も応援したくなってしまう。


誰かに気にしてもらえること、誰かがが側にいることはあたたかい。
第3話の序盤で、寮長の直美(稲森いずみ)が「疲れた」を連呼して、慎吾(菊池風磨)が「どんだけ疲れてんすか」とツッコミ、迫(戸次重幸)が「おつかれさま」と優しく受け止める。「まっ、言いたいの。『疲れた』って、誰かに。いいもんだ、誰かに言えるってのは。」と直美。第3話を象徴するような1シーンにも思える。理髪店「バーバーサッコ」で店長の迫が「(髪)切る?」と尋ねると、花枝たちは決まって「切らない」と答える大好きなシーンがあるのだが、そんな場所があることも『ファイトソング』らしさだろう。


第1話で告白、第2話で付き合うことになって、第3話でデート&キス寸前…と、めまぐるしい早さで展開しているようで、‟恋する気持ち”はきっとスロースタート。


花枝と芦田の心が大きく動いて、慎吾や凛の想いがさらに募ったとき、胸キュンとあたたかさがどっと押し寄せてくるのでは…?と期待している。


文・長谷川裕桃


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