『恋せぬふたり』高橋一生の真骨頂、相手の感情スイッチを押す“深い笑顔”

TV 公開日:2022/01/21 41
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現在NHK「よるドラ」にて放送中のテレビドラマ『恋せぬふたり』で、他者に恋愛感情および、性的感情を抱かないアロマンティック・アセクシュアルな男性・高橋羽(たかはしさとる)を演じている俳優の高橋一生

高橋演じる羽は、スーパーまるまるの青果部門で働く男性。生粋のおばあちゃん子だったが、半年前最愛の祖母をなくし、一人残された家に住んでいる。果物の並べ方一つにも細やかな視点を持つなど、繊細でバランス感覚に優れた一面を持つが、仕事で出会った兒玉咲子(岸井ゆきの)が上司から恋愛について突っ込まれているのを見て「恋をしない人間もいる」と言うなど、アロマンティック・アセクシュアルを自認し、その生き方には強い信念を持つ。


高橋と言えば、10歳から俳優活動を行い、キャリアは30年以上に及ぶ。演じてきた役柄も枚挙にいとまがなく、昨年末、同じくNHKで放送された『岸辺露伴は動かない』では、実写化不可能と言われた岸辺露伴を圧倒的な表現力で演じ、原作ファンをも魅了したのは記憶にも新しい。一癖も二癖もあるキャラクターをしっかりと視聴者に感情移入させる役への深度にはいつも驚かされる。


特に対峙する相手と距離があるなかで、語らずとも雰囲気や間、表情や仕草で関係性を詰めていくシーンは、高橋ならではの魅力が感じられる。


本作では、アロマンティック・アセクシュアルという共通点で出会った咲子と同居するという形で物語がスタートした。当然、彼女にシンパシーは感じつつも、その距離は遠い。咲子は「自分のモヤモヤを理解してもらえた」という嬉しさから羽に対して距離を詰めてくるが、彼女を拒否しないものの、ほぼ咲子を見詰めることなく一定の距離を保とうとする。普通ならば、よそよそしさや冷たさが目立ってしまうが、羽の言動は、どことなくチャーミングであり、自然と二人の関係性に感情移入することができる。


それは羽という人物が、多くの人から自分の特性を理解されないという寂しさだけではなく、しっかりと祖母の愛を受けて幸せに育ったという部分を、高橋はしっかりと、羽というキャラクターに滲ませているからだろう。

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