『アバランチ』綾野剛にしかできない非凡なる表現の境地に鳥肌

TV 公開日:2021/12/14 54
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アバランチ」の目的を、今まで知らなかったこの世界の裏側で行われていることを、西城は羽生らと行動を共にすることで知っていった。尊敬していた父が大山と共謀していることも、「アバランチ」と出会わなければ知らずにすんだかもしれない。純粋で潔癖だった青年は、世の中がそんなに単純でないことを突きつけられる。


「自分の正義は、自分で決めてよ」


誰かから説明してもらうことを待ってばかりいた西城は、自分で考えて、自分で決めた、自分が信じるべき正義を。その過程をきちんと描いてきたからこそ、唯一安全圏にいられたはずの西城が、仲間を救うため、ひとりで戦いを始める姿に胸が熱くなる。


「僕は、アバランチのメンバーです」


そう記者の遠山(田島亮)に名乗る。自分が何者であるかを、自分で定義する。それは、迷い続けた西城が、自分を見つけた瞬間でもあった。世の中には右とか左とか、いろいろあって、ノンポリでいられたらどんなに楽だろうと思う。でも、自分は何を信じるか。どの旗を掲げるか。決めなければ、開けない扉もある。あの宣言は、玉虫色でいたい大衆に、あなたはどの正義を信じるかを問う“通告”のようでもあった。


遠山と手を組み、極東リサーチの正体を探る西城の顔は鬼気迫るものがあり、もう坊ちゃん刑事のそれではなかった。28歳というタイミングで西城役にめぐり会えたことは、俳優・福士蒼汰にとって僥倖(ぎょうこう)であり、それを運で終わらせず、さらなる評価へとつなげる芝居を、ここまで福士蒼汰はしっかり見せていると思う。


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