『消えた初恋』道枝駿佑&目黒蓮が象徴する新しい時代の“価値観とアイドル”

TV 公開日:2021/12/13 70
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なにわ男子道枝駿佑Snow Man目黒蓮がダブル主演するドラマ『消えた初恋』(テレビ朝日系)が、いよいよ佳境に差し掛かってきた。ここまで第9話が放送され、12月4日には総集編も放送された。ファンの熱量の高さももちろんだが、キャストやスタッフの真摯な取り組みが伝わる、非常に良いドラマだと感じている。

原作に比較的忠実なシナリオであるが、ドラマ終盤に入り、道枝演じる青木、目黒演じる井田の2人の世界から少し広がりを見せ、物語に深みが出てきた。もちろん、1つの魅力である胸キュン要素も健在だ。一方で、原作が持つ新しい時代の価値観を、爽やかに、それでいてリアルに描いたシーンが増えてきた。


第8話で、岡野先生(白洲迅)が示した、男性同士の恋愛に一歩引いた態度に対して、青木が「そうやって線引きされたくねえんだよ!」と声を荒げるシーン。「俺だって誰でもいいわけじゃない」と岡野先生に語る青木。一方、酔い潰れた岡野先生を抱えながら「やっぱ青木は優しいなと思って」と話す井田。他者との関わりに摩擦を感じつつ、青木は井田に、井田は青木に、人として惹かれ合う姿は、道枝、目黒の爽やかでストレートな魅力も相まって、印象的なシーンとなった。


第9話では、井田の幼馴染のバレー部員豊田(望月歩)が、「それって、青木の好きと同じか?」と井田に問いかけるシーンがあった。また、別のバレー部員たちが「お前、青木と付き合ってるのか?」と井田に迫るシーンもあった。純粋に惹かれ合う一方で、その気持ちの説明の難しさ、状況の困難さを、井田が見せた複雑な表情が物語っていた。


男性同士の恋愛をテーマとしたドラマは、2015年あたりから徐々に増え、今ではある種ブームのような状況と言える。もちろん、男性同士の恋愛はずっと以前からテーマとしてあったが、非日常的で特殊な存在として扱われることが多かった。時代は変わり、多様性が叫ばれるようになった今、以前より男性同士の恋愛を扱うことが多かった漫画や小説を原作として、多くのドラマや映画がヒットした。男性同士の恋愛を描いた実写作品は、かつてないほど増えている。


本作『消えた初恋』は、そうした中で放送されたドラマだ。男性同士の恋愛が以前ほど珍しいテーマではない中、本作はなお新鮮に感じられる点が多い。その理由は大きく2つある。1つは、原作がそもそも、個人の魅力をベースに恋愛を描いている点だ。性別に関わらず人として惹かれ合う恋愛を、ごく自然に描き切っている点でこの作品は素晴らしく、ドラマでも主演の道枝、目黒を始め、キャスト、スタッフがうまく発揮している。



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