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赤楚衛二、瞳に宿す“失望と怒り”に心揺さぶられる『SUPER RICH』が描く格差と分断

TV 公開日:2021/12/10 1
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そう来たか〜、と思った。優(赤楚衛二)の豹変ぶりが話題を集めた『SUPER RICH』第9話。だが、変貌の理由は、思ったよりも根深い問題が絡んでいた。


※以下第9話、一部ネタバレあり

心清らかな貧乏人が富と名誉を手に入れて冷酷化するというのは、古くは『お金がない!』でもあったように、ひとつの定型ではある。だから、優の“闇堕ち”ターンも、予想しうる範囲だった。ただ、その理由は予想外だった。


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てっきり優を無慈悲にさせたのは、「お金を持った」ことだと思っていた。でも違った。優の心に棘を生やさせたのは、「お金がない」ことだった。


連帯保証人になった父(上島竜兵)は1000万円の借金を抱え、家業の印刷工場は相変わらず火の車。東海林(矢本悠馬)の厚意で自主制作本の印刷と製本を依頼したものの、前日になって発注した部数の1/10しか納品されていないことが発覚。念願だった上場まで危ぶまれる事態に追い込まれる。


そんな不甲斐ない両親にほとほと疲れ果てた優は、容赦ない言葉を両親に浴びせる。優はお金がないことの苦しさを誰より知っていた。自分自身もお金がない両親によっていろんなことを諦めさせられてきた。


よくお金を持つと人は変わると言う。人のぬくもりや思いやりがわからなくなると言う。それは半分本当で、半分は違うと思う。経済的な余裕は精神的な余裕につながる。逆にお金がないと、心も貧しくなる。それを優は知っていた。だからもう嫌だった。


優が両親に言った言葉自体は、そんなに的外れではないと思う。あくまで、正論を言ったまでだ。


でもそのときふっと思い出した。第1話で面接に遅れた優に、衛(江口のりこ)はなぜタクシーに乗らなかったのかと突き放した。ちゃんと時間に間に合った他の学生のことを考えれば、優だけ特別扱いするのはアンフェア。衛の言っていることは、極めて正論だった。


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ただし、正論が人を救うかと言ったら別の話。結局そうやって正論を吐けるのは、衛が強者の立場だからだ。今回もそう。優は間違ったことは言ってない。だが、そうやって並べ立てられた優の正論は、あの日の衛と同じ強者の論理だった。


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