『アバランチ』羽生(綾野剛)の慟哭と怒り、全視聴者を圧倒した3つの衝撃

TV 公開日:2021/12/07 82
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面白い、ということはこんなに気持ちいいことなのか。ここ最近の『アバランチ』の盛り上がりを浴びていると、衝撃が興奮に変わる快感についゾクゾクしてしまう。第8話も、1時間、とにかく画面に釘付けだった。

※以下第8話、一部ネタバレあり

この第8話の大半を占めたのが、大山(渡部篤郎)の仕掛けた爆弾が爆破するまでの約30分。こんなに濃密な30分があっただろうか。敵の手に落ちた牧原(千葉雄大)の命は。山守(木村佳乃)と大山の交渉の行方は。窮地に立たされた羽生(綾野剛)の反撃の一手とは。足を滑らせたら真っ逆さまに転落する断崖を歩くような展開に、視聴者は心を掴まれ、呼吸を忘れる。


そして、切り立った断崖を抜けた先には3つの衝撃が待っていた。


1つ目が打本=打さん(田中要次)の死だ。爆破まで残り2分余り。もう止めることはできないと悟った打さんは、誰も巻き添えにしないようビルの屋上まで爆弾を運び、そのまま自らの命を散らした。


確かにあそこでLPガスに引火したら、被害はこんなものではすまなかっただろう。だけど、もっと他に道はなかったのか。そう思わず悔しくなった。


でも同時に、ふっと思い出したのだ。第4話で明かされた、打さんの過去を。上司の不正を許せず、車を爆破して横流し品を木っ端微塵にした「ヤベえやつ」。自分がこうと思ったら誰にも止められない。ある種の見境のなさが、打さんの血には流れていた。


あの行動も理屈なんかじゃないんだろう。ピュアな正義感が、打さんを屋上に走らせた。だからきっと、打さんは何も後悔していなかった。目の前で爆弾が爆発する。その金色の炎を浴びながら本懐を遂げた気持ちになれたんだと思う。


「みんな頑張ってて、羨ましかったのかな。俺もメンバーとして結果出したいからさ」


かつてそう言っていた打さんを思い出す。仲間って、いいもんだな。そうつぶやき、羽生とハイタッチをしていた打さんを。牧原やリナ(高橋メアリージュン)のように大切な人を失った過去がない打さんにとって、「アバランチ」として活動するいちばんのモチベーションは仲間だった。だから、仲間のために命を張れたことが、打さんはうれしかったのだ。


「アバランチ」と極東リサーチの違いは、個と集団だ。極東リサーチは、集団組織。規律はとれているが、逆に言うとトップの命令がない限り動かない。一方、「アバランチ」は個だ。羽生は何度も言っていた、自分で考えろと。打さんのこの行動も、自分で考えた結果だ。それが、山守の「最優先は、メンバー全員が無事であること」という命に背くものであっても。そういう意味では、「アバランチ」らしい最期だったのかもしれない。


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