『アバランチ』大山(渡部篤郎)は、羽生(綾野剛)のなり得た姿かもしれない

TV 公開日:2021/11/30 39
この記事を
クリップ

人間が無意識に呼吸できる生き物でよかった。でなければ、窒息してしまうところだった。それくらい、すさまじい緊張感だった、『アバランチ』第7話は。


正義は、脆弱だ。なぜなら、正義の味方は守らなければいけないものが多すぎる。いっそ手段を選ばなければ、罪なき人の犠牲を厭わなければ、もっと自由に戦える。シビアな判断ができる。でも、正義の味方はそれができない。ルールを守るのが、弱き人を救うのが正義の味方だから。


※以下第7話一部、ネタバレあり

「アバランチ」もそうだ。正義の味方から一転、危険なテロリストに仕立てられた「アバランチ」。大山(渡部篤郎)の画策した郷原首相(利重剛)暗殺計画の裏をかき、郷原をさらい出したまでは良かった。が、それも大山の計算通りだった。


もし偽アバランチの予告が真実なら、爆破テロによって一般の人々の命が奪われる。確証はない。罠かもしれない。だけど、敵の術中に飛び込むしかなかった。


「それでもやるしかねえだろ!」


吠えるように声を張り上げた羽生の顔には、正義の味方のジレンマがあった。たとえ計画が途中で破綻しても、己の身を危険にさらされても、弱い人を守ることが羽生の正義。足並みの狂った「アバランチ」は、大山の掌の上で不器用にもがく、羽をもがれた鳥のようだった。


そんな追いつめられていく「アバランチ」とは対照的に、大山は終始冷静だった。大方の視聴者が予想していた桐島(山中崇)は実は大山を裏切るのではないかという見立ても見透かしていたように、自身の手駒さえ出し抜いてみせた。


1/4ページ

この記事の画像一覧 (全 16件)