綾野剛の涙が胸に迫る『アバランチ』が描く“正義”と“大義”の対立

TV 公開日:2021/11/16 30
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個人の“正義”か、社会の“大義”か。

警察を去った羽生(綾野剛)の“エピソード・ゼロ”を描いた『アバランチ』第5話。それは、怒濤の後半戦への滑走路となるような回だった。


※以下第5話、一部ネタバレあり

藤田(駿河太郎)が命を落とし、羽生も瀕死の重傷を負った爆破テロ。「アバランチ」結成のきっかけとなったこの事件そのものが、大山(渡部篤郎)の仕組んだ偽装テロだった。だが、決してその企みは邪魔者を処分するための罠でもなければ、私怨によるものでもない。


平和ボケしているこの国のテロに対する警戒心を高めるために、警察内部の人間を犠牲にした。いわば、社会を変えるための“必要悪”だった。


“Creating new world”――新しい世界を創造しようとしているのは、やはり大山も同じだったのだ。


「危機管理が低い日本を変えるのは、情報収集の最前線にいるあなたがたです」


内閣官房副長官に就任した大山は、内閣情報調査室の面々をそう激励した。この言葉の延長線上にあるのが、大山の構想する新たな諜報機関の設立だ。それがどのようなものかはわからない。けれど、国家の安全保障のための組織であるなら、一概に悪とは言えない。緊迫する国際情勢下において、日本政府の危機管理能力が何度となく問題視されてきた。それらの解決のために、大山の思い描いている新たな諜報機関が有効であるならば、それは十分すぎるほどの“大義”だ。


そして、この国は何かが起こってからでないと変わらない。「痛みを伴う構造改革」とはかつての総理のキャッチフレーズだが、何かを変えるには、ある程度の痛みは避けられないものとされてきた。今回の場合で言うなら、それが藤田たち公安刑事の命だったのだろう。大山の“大義”を実現するための、尊い犠牲だった。


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