綾野剛の“笑っていない笑み”が胸を突く『アバランチ』が描こうとしているもの

TV 公開日:2021/11/09 2
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なんだろう。この不穏な違和感は。この世に潜む悪を着々と成敗していく「アバランチ」。だけど、そこに爽快感はまるでない。むしろ彼らが悪を追いつめれば追いつめるほど、逆にどんどん追いつめられていっているような切迫感が画面全体に漂っている。はたして、このダークヒーローたちが巻き起こす「雪崩」が飲み込むものはなんだろうか。


※以下第4話、一部ネタバレあり

『アバランチ』(カンテレフジテレビ系)第4話でターゲットとなったのは、4期連続で関東医師連合の会長を務める神崎(中丸新将)。全国何万もの医師の組織票を牛耳る神崎に政治家たちはすり寄り、不正の温床となっていた。その事実を暴くのが、今回の「アバランチ」のミッションだ。打本(田中要次)は身分を偽り、神崎が理事を務める病院に潜入。神崎の指示のもと、得意先の軽症患者を優先したがために、本来先に処置されるべきだった重病患者が命を落とした事実を突き止める。


ただ、今回気になったのは、こうした本筋のエピソードではなく、その周辺で描かれる「アバランチ」の起こした熱病だ。アバランチのシンボルマークをかたどったキーホルダーを若者たちはカバンに下げ、アップされる動画に嬉々として食いつく。まるで大衆全体が熱に浮かされているみたいだ。



前回、優美(堀田茜)がアバランチのことを「言いたいことを代弁してくれる感じ」と述べていた。確かにそんなふうに普段口にしたくでもできないことを代わりに言ってくれる人が現れたら気持ちいいだろう。自力では尻尾すらつかめない悪を代わりに裁いてくれたら、自分までヒーローになった気持ちになれるだろう。でも、それはなんだか陰謀論に取り憑かれる人々に似ていて。アバランチの動画に興奮している人たちの光景は、どこか不気味でさえある。


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