警察が裁けない悪を討つアウトロー集団の活躍を描いた『アバランチ』(カンテレ・フジテレビ系)。第2話は、天才ハッカー・牧原(千葉雄大)がなぜ「アバランチ」に名を連ねたのか、その背景が描かれた。
※以下、第2話一部ネタバレあり
カンボジアに学校を建てたい。そんな大志を抱きながら、突然ビルから投身自殺を図った姉・夏川洋子(中島亜梨沙)。姉が自殺なんてするはずない。牧原は姉の死の真相を突き止めるために「アバランチ」の一員となった。
打本(田中要次)の聞き込み調査がきっかけで、死の直前、洋子が何者かに拉致されていたことが判明。また、洋子がコンタクトをとっていたジャーナリスト・永井慎吾(久保田悠来)の証言によって、洋子が外務副大臣・黒田正治(嶋田久作)の不正に関する証拠を掴んだために、闇に葬り去られたことを知る。
大物政治家の収賄疑惑と、謎の不審死。またも現実とリンクするような事件が画面の中で描かれていく。そして、前回同様、「アバランチ」の手によって悪は白日の下に晒された。この2回ではっきりしたことがある。「アバランチ」はあくまで不正を明るみに出すだけ。審判をくだすのは、大衆だ。それが、アウトロー集団なりのルールらしい。
大衆とは、視聴者のこと。つまり私たちは毎回問われているのだ。この現実に、あなたはどう思いますかと。無関心なニュース。不感症な社会。でもそれじゃ何も変えられない。もっとちゃんと拳をあげて戦わなきゃいけないんじゃないか。許せないことに対し、正々堂々と怒りを表明するべきなんじゃないか。「アバランチ」が引き起こす「雪崩」は、この社会を変えるためのアジテーションのように見える。
きっとこれからリナ(高橋メアリージュン)や打本が「アバランチ」に加わった理由も明かされていくだろう。もちろん羽生(綾野剛)が巻き込まれた、あの爆破事故の真相も。
そのときにまだ見て見ぬふりをしていられるか。「アバランチ」のあの逆三角形のマークが宣戦布告している相手は、私たち大衆なのかもしれない。
そして、この第2話のキーマンとなったのが、牧原を演じる千葉雄大だ。千葉雄大の、俳優としての武器は「虚」の巧さだろう。千葉雄大のようなベビーフェイスの俳優はこれまでもたくさんいたが、年齢を重ねると合う役柄が少なくなるため、活動が狭まったり、肉体改造をして路線変更するなどの必要があった。
だが、千葉雄大は32歳になった今も「愛らしさ」を損なうことなく、順調にキャリアを重ねている。なぜ千葉雄大にはそれが可能か。その理由は、千葉雄大の中に「愛らしさ」と相反する「虚」が共存しているからだろう。