ゼロになれるって案外気持ちいいことなのかもしれない。『SUPER RICH』第2話を観て、そんなことを思った。
※以下第2話、一部ネタバレあり
盟友・亮(戸次重幸)の裏切りに遭い、全財産を失った衛(江口のりこ)。大手IT企業・MEDIA社から支援を受けるには、1500万円の純利益を出さなければいけなかった。徹底したコストカットと懸命な営業を重ねたが、1500万円には届かない。最後の手段は、赤字部門の編集部を切ること。だが、衛は人を切ることだけはできなかった。
その結果、衛の経営するスリースターブックスは華やかなオフィスを失い、ボロボロの一軒家に移転。お荷物でしかなかった編集部とインターンと共に再出発を切ることとなった。
はたから見れば、目も当てられないような悲惨な転落劇。でも、古びた平家で「みんな、ようこそ我が家へ」と笑う衛は、今までよりもずっとすっきりとした顔をしていた。衛ってこんなににこやかな顔で笑うんだと、虚をつかれるような気持ちにさえなった。
きっと会社が大きくなるにつれて、衛は経営者として背負わなければいけないものがどんどん増えていったんだろう。名声と引き換えに、伸びやかな心を失ってしまったんだろう。
だけど、余計な荷物を全部手放したことで、衛はまた会社をはじめたばかりの頃の自分に戻れた。衛がここまで会社を大きくできたのは、人を信じる心があったからだ。だから、亮がついてきて、今吉(中村ゆり)がついてきて、東海林(矢本悠馬)や鮫島(菅野莉央)、碇(古田新太)がついてきた。きっとここから衛は、この四隅をとられたオセロゲームをひっくり返していくだろう。その鍵となるのは、人を信じる心だ。