『ただ離婚してないだけ』役者陣の「目」に釘付け、鳥肌モノの演出と芝居

TV 公開日:2021/09/17 14
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逃げ出そうとした佐野に電子レンジを振り下ろし、「見つかったら私たち終わりよ」と正隆に詰め寄る雪映。悩んでいるような表情から、雪映は一瞬にして何を考えているか分からない表情へ。何が変わったというわけではない。少し顔をあげただけだが、その目はまるで心を持ってない人形のような目となり「衰弱死させる」とぽつり。そんな雪映に正隆の表情がぴくぴくと痙攣する。もう、とても芝居とは思えない。苦しい、苦し過ぎる!


まもなくぐったりとして縛られた佐野を前に何も言わず、涙ぐむ正隆。佐野は本当にひどいヤツである。正隆も身をもって、そのことは知っている。だが、雪映は言った。「水も食べ物も与えない、それだけでいい」。これから死にゆく者への同情の涙なのだろうか。それとも自分が殺さなければならない哀しみだろうか。正隆は何も言わず、電子レンジを片付ける。もうお前に与える食い物はない…これからお前を殺すという意思表明でもあったのかもしれない。


それにしても外へ逃げ出したときの佐野の姿はすさまじかった。ランニングシャツにオムツ、そしてこの撮影のために15kgも減量したという細い手足。最初に逃走しようとしたときは、いつものいやらしい目が息を吹き返していた。だが、1度目は逃走失敗。2度目の逃走で外をヨタヨタと歩く佐野が「やった、やった、やったぞ。あの悪魔からようやく逃げたぞ」と言ったときの佐野の目には必死さがうかがえた。結局、正隆に取り押さえられ、雪映には足に包丁を刺され、再びおびえた目を見せ家へ連れ戻された。そして3度目の逃走。このとき見ている人の気持ちは「佐野、逃げて~」なのか「正隆、捕まえて~」なのか分からない。だが、死を目の前に実感した佐野の目は、まるで猛獣のようだった。「ぐぁ~~」と叫び、正隆をはねのけ、窓から飛び降り、弱ったはずの手足を必死に動かす佐野は、人間とは思えない動きをした。


だが、「バァ~カ、バァ~カ、バァ~カ」と笑顔を浮かべ、狂気に染まった佐野が次週、どのように動くのか。深水元基の次週の芝居が楽しみでもあり、怖くもある。


文:今 泉


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