北山宏光主演『ただ離婚してないだけ』展開エグいけど観てしまう、心掴まれる光と闇

TV 公開日:2021/07/28 18
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「怖すぎ」「息するの忘れる」「身体に力が入ってた」「ただリコ視聴は20分走ったくらいの体力消耗をともなう」「観た後寝れない」…

Kis-My-Ft2の北山宏光が主演を務めるドラマホリック!『ただ離婚してないだけ』(テレビ東京系、水曜深夜0時)は、観終わると冒頭のような感想コメントがつぶやかれる。一見ネガティブなコメントに見えるかもしれないが、それだけこのドラマに心を掴まれドラマの世界に引き込まれている証拠とも言えるだろう。毎話トレンドを賑わせ、初回は見逃し配信の再生数(1週間での再生数)がテレビ東京の番組で歴代2位を記録。「怖いけど続きが気になる」「1番次が気になるドラマ」との声が相次いでいる。



結婚生活7年目を迎えた、ただ離婚してないだけの冷え切った夫婦を描く本作。正隆(北山宏光)の不倫相手・萌(萩原みのり)が妊娠。正隆は堕胎させ、一方的に別れを告げる。一方で妻・雪映(中村ゆり)との間には子供ができる。心が壊れていく萌は、夫婦のもとへ。包丁を持って襲い掛かる萌と正隆はもみ合いになり、気が付けば夫婦の前には腹に包丁が刺さって倒れている萌。血の海が広がっていく…。


ストーリー展開が衝撃的で怖すぎることは、こんな雑な説明でも少なからず伝わるだろう。しかし、同時にこの闇深い世界に引き込み「続きが見たい」と思わせる、研ぎ澄まされたこだわりを感じる瞬間が何度もある。今回は、正隆(北山宏光)と雪映(中村ゆり)、夫婦の描かれ方を少し振り返りながら、そのこだわりを探ってみたい。


フリーライターの正隆は、編集部で「実家の商売継いだ方がよかったんじゃないの?」「実力ないんだから、せめてやる気くらいみせてよ」と言われ下りのエレベーターに乗る。「クズども…クズども…」そう呟きながら、エレベーターは下降していく。孤独な正隆のつぶやきが響き、街の喧噪やエレベーターの動作音が次第に大きくなり、正隆の存在を飲み込んでいく。それを紛らわせるかのように、萌(萩原みのり)との体の関係に寄りかかる。第2話でも、「ぼんぼん育ちだからかなんか知らないけど、仕事なめるのもいい加減にしてくれよ!」またも編集部で辛辣な言葉を浴び、エレベーターでまた一段闇に墜ちていく。視覚からも聴覚からも、一段一段堕ちていく正隆が描かれているように感じられる。


正隆は過去にとらわれている。実家は大企業の製薬会社。正隆は母親の連れ子で、父となった社長と血のつながりはない。やがて社長を継ぐことになったのは実の子である弟の方だった。「息子ともども、家族で…」と父がパーティーで挨拶したとき、幼い正隆は後ろの方で壇上を眺めていた。“家族”のなかに正隆は含まれていなかった。雪映が過去に死産した時に安堵したことも、萌に子供ができて堕胎させた時も、家族というものに向き合うことを避けたのにはそんな過去があったからだ。正隆が「クソが…」とつぶやき堕ちていくとき、実家に言及する言葉やニュースが正隆の世界を支配していた。

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