中村倫也主演『珈琲いかがでしょう』“振り幅エグい”役者の名演とドラマの深み

TV 公開日:2021/05/02 87
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店の準備をする青山(中村倫也)、丁寧に淹れられる珈琲。急に挟まれる金髪姿の青山。やさぐれたような表情で、顔には血。手には湯気が立つコーヒー。


小沢健二のオープニングテーマ『エル・フエゴ(ザ・炎)』が、穏やかな景色もダークな空気も優しく包み込んでいた。


中村倫也が主演を務めるドラマ『珈琲いかがでしょう』(テレビ東京系、毎週月曜よる11:06~)は、先週までで第4話を終え、全8話のちょうど半分。優しくもほろ苦い人情珈琲群像劇は、第5話から後半に突入する。中村倫也が「結構ダークな方にいく」、ぺい役の磯村勇斗が「ハードなシーンだらけ」と語っていた後半。第4話のラストには、ずっと青山を追っていたぺいが青山の前に現れ「ばぁ~」。青山の過去が徐々に明らかになってきた。「このドラマ、振り幅えぐい」そんな声も上がっている本作の魅力を、第4話を振り返りながら探ってみたい。



第4話の1杯目『ガソリン珈琲』。

「いらっしゃいませ、淹れたての珈琲いかがですか?」
青山(中村倫也)の微笑みに、「おまえ、その笑顔だいぶ気持ち悪いぞ」と言ったのはゴンザ(一ノ瀬ワタル)。「あの青山が珈琲屋だなんてな」。


「ハッ、それはお互い様だろ」
過去を知るゴンザに話し始めた青山の口調は、見かけはいつもの珈琲屋だが、一瞬でガラの悪さをのぞかせる。ゴンザの話を聞きながらうかべる表情もまるで違う。第3話でアケミを助けたときに出たこわ~いお顔に通ずるものが。「本当に売っとくもんだなぁ、恩って」とゴンザを見るワルイ顔にゾクッとする。


感情を爆発させるシーンでもないちょっとした導入部の会話だが、青山のダークな部分がのぞき、実は見応えがある。もともと原作ファンから「青山が中村倫也にしか見えない」と待望された役で、視聴者から「緻密すぎる表情筋のコントロール、一体どうなってんだ」「演技力、ハンパない」という声が上がる中村の演技力は、実写の魅力を存分に感じさせてくれる。


毎話登場するゲストも見事にハマり、一杯ごとに印象深く残る。『ガソリン珈琲』では、野間口徹がメガネなしの姿で登場。


青山の珈琲を飲みながら「すっごくかわいいんだ。僕なんかにはもったいないくらい」と菊川(野間口徹)が話すのは病気の妻のこと。そんな妻が毎朝淹れてくれる珈琲はマズかった。でも嬉しかった。家で妻の世話をしながら優しく語り掛ける姿が映されていたが、妻は1年前に亡くなっていた…。儚くて、壊れそうで、やさしい。妻が亡くなっていることは、なんとなく気付いていた視聴者もいたと思うが、それでも野間口の演技に「思わず泣いてしまった」「もっと観てたかった」「やっぱりすごい俳優さん」と心に届く名演を見せた。


青山の珈琲は、菊川(野間口徹)が一歩前へ進むきっかけになっていた。妻のために大好きな珈琲を絶っていた菊川に妻(幻影)が「また今日珈琲飲めたじゃない?」と言った。受け入れたくない現実。それでも、最後にはもう一度青山の珈琲を味わう菊川の姿があった。


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