『珈琲いかがでしょう』中村倫也が見せる多面性、癒しだけじゃない味わい深さ

TV 公開日:2021/04/12 47
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鈴のついたタコのキーホルダーが揺れる車内。青山の気の抜けた口笛、バックミラーに映る表情。都会のビル群の中走る移動販売車の空気を引き継ぐように、オザケンの優しく熱い歌声が響く。カチャっとトランクを開けて、エプロンをキュッとしめて、ドリッパーをセット。静かにお湯を注ぐと、珈琲のいい香りが画面からしてきそうだ。


先週スタートしたドラマ『珈琲いかがでしょう』(テレビ東京系、毎週月曜よる11時6分から)。主人公・青山が「中村倫也にしか見えない」と言われていたコナリミサト原作の人気漫画を、その中村倫也主演で実写化。監督・脚本を務めるのは、映画『かもめ食堂』などで知られる荻上直子。ドラマは冒頭から、映画を観ているかのような空気感で、音、映像、音楽、そして中村演じる青山の佇まいが、ドラマ『珈琲いかがでしょう』の世界へ丁寧にふわっと引き入れた。


よる11時6分からの約1時間の枠で、少なくとも第4話まで各話2編を放送することが明らかになっている本作。初回の第1話では「人情珈琲」と「死にたがり珈琲」の二編を放送。「癒されました」「近くにこんな珈琲屋あったら通いそう」「色んな言葉にグサグサ共感」「心に染み渡る」と早速多くの視聴者の心を掴んだようだ。そんななか中村倫也が見せた“変化や多面性”は、癒しだけではない味わい深さを、第2話以降も生み出していくのだろうと感じた。



「丁寧に、誠実に」を心掛けて仕事をしてきた垣根(夏帆)。


心を込めて書いた手書きのお礼状も、「テンプレ入力でいい」「かえって気持ちが悪い」と言われてしまう。そんな垣根がいい匂いに導かれ向かった先に、まるで湯気に包まれたようなやわらかな空間で、落ち着いた癒しオーラを放つ青山(中村倫也)。丁寧に時間をかけて珈琲を淹れ、垣根の“黒いモヤモヤ”に耳を傾け、「素敵です。僕は好きです、そういう心がけ。」「見てる人はちゃんと見てくれますから。大丈夫です」なんて肯定されたら、もう常連客確定。丁寧にやることに意味がないのか…と垣根が絶望感に駆られていると、「全員に通じるものって、案外つまならないのかもしれないなぁって。誰かにとっての特別であれば、それがいいです」と、珈琲店である自分の仕事を重ねて言葉を返す青山。口数が多いわけではないが、話を聞く表情にも包み込むような広さがあった。



「こんな昼下がりの日は、死にたくなる」。
晴れた穏やかな休日。またもやわらかな映像のなか、美咲(貫地谷しほり)が発した一言で、一気に苦みを帯びる2杯目「死にたがり珈琲」。


手すりに片足をかけた美咲に目を丸くする青山(中村)の表情は、一杯目の「人情珈琲」にはなかった表情。


無言のキラースマイルの威力も、相手のペースを受け入れる度量も、ドリップの美しい所作も同じだが、どこか少し雰囲気が違って感じる。


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