『ボス恋』上白石萌音&玉森裕太 緩急で魅せる繊細な部分、寄り添う“夢”の陰

TV 公開日:2021/02/23 87
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火曜の夜にキュンキュンと笑顔とザワザワを供給中のドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(以下「ボス恋」)。とにかくテンポがいい。美しく絵になるキュンキュンシーン、思わずニヤニヤしてしまうコミカルなシーン、ギュッと胸を掴まれるような切ないシーン…メリハリの効いた展開とキャストの演技が相まって、あっという間に1時間が過ぎていく。


本作は、ファッション雑誌「MIYAVI」の編集部を舞台に“普通・人並みが一番”の平凡女子・鈴木奈未(上白石萌音)が、ドS編集長・宝来麗子(菜々緒)とその弟で“子犬系男子”の潤之介(玉森裕太)に振り回されながら、仕事と恋に奮闘するラブコメディ。先週の第6話では、ラストで“ドS先輩”中沢(間宮祥太朗)が潤之介に宣戦布告。奈未へのストレートな告白は「カッコよすぎる」と大反響となった。最後にすべて持っていかれた感のある第6話だが、奈未と潤之介のちょっとした(というと細かくこだわって作られているドラマに対して失礼かもしれないが…)シーンを見ていくと、陰と陽の魅力、そして“夢”が一つのキーワードとしてあったように思う。



まず、奈未&潤之介の楽しい掛け合いは視聴者を笑顔にする。

「やっぱり泊まるつもりですか?」「うん。だめ?」

あたりまえのように奈未の部屋に泊まろうとする潤之介。「だって、こういうのって、いろんなことを経て、経て、経てのうえで…ね?」ストップをかけようとする奈未。本来ならば、嫌悪感を抱いてしまいかねない潤之介の行動も、玉森が演じると無邪気でクリーンなわがままに。その天然な子犬に対して、漫才のごとく、しかも翻弄されながら返していく上白石のコメディエンヌっぷり。掛け合いの間やトーンは心地よく、二人ならではのやさしい空気も。特に、ドラマでは奈未のモノローグが多くの場面で登場するが、突然の語りも、少々ぶっ飛んだ愉快な妄想も、適切なトーンですっと視聴者を引き入れてくれる。


潤之介が幼馴染の理緒(倉科カナ)に告白したのは音大時代。OKをもらって「やったー!」と万歳して喜ぶ10年前の潤之介の笑顔は、第4話で奈未に「星、今夜見に行きましょう」と言われて喜ぶ様子と全く同じだった。しかしその後、バイオリン留学中の理緒から「夢を見るだけで終わりたくない」と告げられる。

「夢…」

潤之介は考えるように視線を落とした。


無邪気で明るいカメラマンの潤之介だが、ふと覗く“陰”の部分がある。第1話では、次の写真の仕事が決まり「うれしいに決まってんじゃん」と言いながら資料をゴミ箱に投げ込んだ。時折見せる潤之介の陰の部分を、玉森がやりすぎず繊細に表現。第6話でも、写真コンテストの選外通知を見て暗い目。好きなことを「堪能するほど何もできてない」と冷めたように口にした。


「夢を仕事にするってなんだろう…」と戸惑う奈未。編集長・麗子(菜々緒)に対して、そこそこ口ごたえもするし、麗子にばっさり切り捨てられるほど仕事に甘い部分も見せる。それでも、第1話からミスをした遥(久保田紗友)を庇い、ボツになった中沢のインタビューへの思いを理解し、過労で倒れた麗子を本気で心配する。編集長との距離は確実に近くなり、奈未のひたむきさや温かさがまわりに影響を与えていく。「誰かのためにするのが仕事」だと思ってきた奈未は、仕事で失敗しながら“誰かのために”一歩ずつ進んできた。しかし“夢”って…?

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