綾野剛&星野源『MIU404』にハマる見逃せない一瞬、蘇る言葉の数々

TV 公開日:2020/08/21 86
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まばたき注意。


綾野剛と星野源がW主演を務めるドラマ『MIU404』(TBS系、毎週金曜よる10時~)。フォロワー数が43万人を超えている番組公式Instagramによると、第9話は「今回もまばたき注意」だそうだ。


『アンナチュラル』『逃げ恥』の脚本家・野木亜紀子が手掛けるストーリーはスピーディーで二転三転する展開。そこに刺さるセリフ、痺れる伏線がびっしり。一つ一つの台詞は聞き逃せないが、同時にセリフのない一瞬のカットも見逃せない。


先週放送の第8話は、メロンパンで喧嘩し、捜査一課の刈谷刑事をいじり、ドラマ『アンナチュラル』とのコラボに大いに沸いた前半。


そこからの垂直落下のような悲しい結末。あまりにも重い余韻が残る衝撃の神回となった。そんな第8話の見逃せない一瞬を拾いながら、『MIU404』の“沼”に入ってみたい。(以下、第8話のネタバレあり)



第8話、サブタイトルは「君の笑顔」。



このサブタイトル、「#08 君の笑顔」という文字がテレビの画面に表示されたとき映っていたのは、桔梗(麻生久美子)の息子・ゆたか(番家天嵩)。無邪気に傘を「シャキーン」と振って、このサブタイトルの文字をかき消した。開始2分ほどで映された、この何でもないように見える一瞬にも、後々考えてみると意味があったようだ。


今回の事件は、山中で男性の変死体。両手の中三本の指が切断されていて、「ケモノ」を意味する文字が書かれた荷札とロザリオ。未解決の連続猟奇殺人として捜査一課が動き始めた。アッシー扱いの伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)だったが、被害男性・堀内の最初の事件を担当した刑事が、伊吹の恩師・ガマさん(小日向文世)だとわかる。


この事件、結末を先に言ってしまうと、犯人はそのガマさん。妻とともに交通事故に遭い、妻・麗子は命を落とした。車は一度衝突したあと、後ろに戻り倒れている麗子をもう一度故意に轢いた。「二度と笑わない麗子」。現場には赤い傘が舞った。


感情と昔の思い出でフタをした伊吹の勘は、本当はどこで働いていたのか。確かなことは分からないが、九重がキリシタン狩りの話をし始めたとき、一瞬映る伊吹は、うかない表情を浮かべていたように感じられる。もしかしたら勘自体はもっと前から働いていたのかもしれないが、自覚したのはこの時ではないだろうか。


一瞬映った志摩(星野源)が見ていた捜査資料によると、ガマさん夫妻の事故が起こったのは、伊吹が4機捜に配属された日。「ガマさんは刑事だ」と信じたかった伊吹の想いは打ち砕かれた。第5話でガマさん(小日向文世)が伊吹に言った「おまえは人を信じすぎる」という言葉も、今となっては恐ろしく響く。「ねえ、ガマさん…」少年のように涙する伊吹の姿は胸が苦しくなった。


第1話で「機捜っていいな。誰かが最悪の事態になる前に、止められるんだよー?」と、配属され最初の事件が解決して言った伊吹の言葉がこんな形で思い出されることになろうとは。第2話で伊吹は、犯人の加々見(松下洸平)に「相手がどんなにクズでも、どんなにムカついても、殺した方が負けだ」と言った。ガマさんみたいな刑事になるとやってきた伊吹。第7話では「10年間誰かを恨んだり、腐ったりしないで本当によかった」と振り返る。そんな伊吹に、この結末はあまりにも残酷だ。


「俺は、どこで止められた?」。第3話で志摩が話したピタゴラ装置の話。「誰と出会うか、出会わないか」。第6話では伊吹が「玉突きされて入った俺が、404で志摩と組むことになって~その一個 一個 一個全部がスイッチで!」と熱く語った。ガマさんが事故に遭った当時、伊吹は機捜に異動したばかりで忙しくて会えなかった。それも一つのスイッチ。「完全に閉じちまった人間の手は、掴めねえんだ」という第7話の陣馬(橋本じゅん)の言葉も、第4話の「私たちはいっつも間に合わない」という桔梗(麻生久美子)の言葉も。次々と繋がっていく“沼”。第8話は意味のある一瞬・悲しい結末から、これまでの各話が次々と蘇る回だったように思う。

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