舵を渡してはいけない
綾野剛と星野源がW主演を務めるドラマ『MIU404』(TBS系、毎週金曜よる10時~)。7日に第7話が放送され、翌8日には第7話の再放送とともに、主演の二人とドラマ主題歌を担当する米津玄師3人によるスペシャルトークが放送された。
第7話は、出演者を挙げるだけでも既にカオス回。
女優・りょうがコスプレイヤーとして登場。りょうが俳優デビューした作品の監督だった塚本晋也が出演。さらにロックバンドKing Gnuの井口理がメロンパンの配達員として地上波ドラマ初出演。ほかにも、BABYMETALが大好きな家出少女のスゥ(原菜乃華)とモア(長見玲亜)や、トランクルームの管理人役で映画プレゼンター“赤ペン瀧川”が出演。さらには、第3話で逃げ伸びた成川岳(鈴鹿央士)、その成川に近づく“謎の男”(菅田将暉)、時折不気味に登場するナウチューバーREC(渡邊圭祐)が不穏な動きを見せる。そして陣馬(橋本じゅん)の家族に、九重(岡田健史)の父までも登場。
これでもかという情報量の中で、今回もまた抜群の面白さであっという間に展開した第7話。このタイミングで放送された綾野剛×星野源×米津玄師3人だけのスペシャルトークは、約20分ほどだが、3人の言葉に胸が熱くなるとともに、第7話のメッセージがリンクしていたようにも感じられる。(以下、第7話とスペシャルトークのネタバレあり)
スペシャルトークの中で米津玄師は、コロナ禍での意識の変化について、音楽家として「自分の人生はそもそも不要不急だったということを改めて突き付けられた。最終的には舵を渡してはいけない」と語った。
「自分にとって必要であるか不必要であるかは、自分が決める話」
『MIU404』第7話で描かれたのは、トランクルームに集う人々の物語。トランクルームは普段使わない荷物などを収納する貸しスペースだが、そこに違法に住んでいる男・倉田(塚本晋也)は「いらないものを置いとくこの箱の中で、ただ永らえて、意味があるんだろうか」と自問する場面がある。
すると利用者たちからこんな声が。
弁護士でありコスプレイヤーのジュリ(りょう)は「この世のほどんど、意味なんてないよ。私がコスプレで歌ってんのも、好きでやってるだけ」。家出少女たちは、「ここにいらないものなんて置いてない」「宝物、置いてあります」。そして最後に、志摩(星野源)は、「なんにせよ、(トランクルームに同じく住んでいた)ケンさんはケンさん。あなたとは別の人間です」と。自分にとって必要なもの、大事である部分は、その人自身が決めること。米津の言葉が重なる。
スペシャルトークで星野源は、「不必要なものだったり、余計だって思われるようなことを作ることが、僕にとってはものすごく必要なこと」「その余計なものを命かけて作ってる」と静かに熱く語り、綾野剛は、テレビや音楽を通して「(空けなければならない)この2メートルっていう距離が、縮めることができるのか、分からないけど信じてやる」「自分の今の使命だと思ってる」と言い切る。3人の生き様が、『MIU404』第7話のメッセージそのもののように響いてくる。
今自分に必要なこと、今自分が選ぶこと、今自分の使命だと思っていること。まさにそれは自分の“現在地”。第7話のサブタイトルでもある。