『MIU404』あれもこれも伏線?綾野剛&星野源の掛け合いが生む心地よさ

TV 公開日:2020/07/10 48
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「あ、大事なこと思い出した」と伊吹(綾野剛)。「毎晩寝る前、あれを志摩に言っとかないとーって思ってたんだよな。」と話し出すと、「毎晩思いながらも忘れるってことは、大したことないんじゃないの?」すかさず志摩(星野源)から冷静なツッコミが入る。しかし伊吹は「毎晩思い浮かべんだぞ、毎晩寝る前!その顔を。嫌だろー!?女の子の、きゅるっとした顔を思い浮かべながら寝たいだろ?」とお構いなし。「まじその“きゅる”がよくわかんない」平坦に返す志摩…


綾野剛と星野源がW主演を務めるドラマ『MIU404』(TBS系、金曜よる10時~)が初回と第2話放送を終え、「痺れるほど面白い」「スピード感がすごい」「二人の掛け合い最高」「さすがの野木亜紀子脚本、圧巻だった」「主題歌、米津さん最強」と様々な角度から視聴者の心を掴んでいる。



本作は『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』の脚本家・野木亜紀子氏のオリジナル作品。一話完結ではあるものの、登場人物たちの関係性やそれぞれの過去は各話にまたがり事件とともに進展していくようだ。


ドラマの主役は、初動捜査のプロフェッショナル「機動捜査隊」(通称:機捜)。綾野らドラマのメインキャラクターたちは「4機捜」という架空の部隊に所属し、任務を行っている。


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勤務は24時間。覆面パトカーで地域をパトロールし、事件があれば現場へ。24時間以内で事件を解決できなければ、捜査は別の者に引き継ぐ。まずこの「24時間」というタイムリミットがドラマのスピード感を生む。


4機捜の中でバディを組むことになったのが、視聴者からは「可愛い」の声続出の“野生のバカ”・伊吹藍(綾野剛)と、理性的で優秀だが自分も他人も信用しない・志摩一未(星野源)。この二人の掛け合いが、楽しさや心地良さを生むと同時に、ストーリーを展開させ、ドラマの大事な伏線にもなっている。


記事冒頭のやりとりは、第2話始まってすぐの伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)の会話。それぞれの性格がにじみ出たこの会話で、結局伊吹が言いたかった「大事なこと」は、「謝ってもらってない」ということだった。第1話で、犯人に拳銃を突きつけるフリをした伊吹を、志摩は殴った。そのことを謝ってほしかったのだ。「食いもんがしみて飯も食えない。3㎏は痩せた」「夜めちゃくちゃつけ麺食ってた」とクスッと笑える会話がテンポよく続くが、この「謝ってもらってない」が、あとあと効いてくる。


第2話では、ハウスクリーニング会社で専務が殺される事件が発生。真面目に働く社員・加々見(松下洸平)が現場から凶器を持って逃走した。


加々見は偶然出くわした田辺夫妻(鶴見辰吾・池津祥子)の車に立てこもり逃走するのだが、車内では加々見と夫妻の間に不思議な関係が生まれる。「本当に、人を殺したの?」と尋ねられ首を振った加々見。その時、夫妻は彼を「信じる」と決めた。夫妻には、信じてやれず中三の時自殺した息子がいた。「あの時に戻れるなら、『俺はおまえを信じる、誰が何と言おうと信じる』あの子に言ってやりたかった。」という想いがあったのだ。


一方、この加々見が乗った田辺夫妻の車を「容疑者が乗ってる!」と察知した伊吹(綾野剛)。


自分も他人も信用しない“袖袖魔神”な志摩(星野源)も、なんだかんだで伊吹の勘を信じ始め(志摩曰く、可能性がゼロになるまで確認する為)、追尾を開始。


志摩の巧い「べろ~んってしてます」作戦(?)で田辺夫妻の車にボイスレコーダーを仕込む。伊吹がアクセルを踏むごとに、ストーリーもぐんと前へ進む。


ボイスレコーダーで聞こえてくる会話から、伊吹は「加々見無実派~」。しかし、志摩は「俺たちの仕事は、疑うことだ」。よくある流れだと、「加々見は犯人ではありませんでした」となりそうなものだが…

「人は信じたいものを信じるんだよ!」

志摩の性質とも絡んでくるこの事件の結末は、悲しいものだった。「親父の言う通りにしないと、認めてもらえなかった」。加々見は、自分の父親と会社でパワハラをする専務が重なり、父親へのあてつけに専務を殺した。その父親は、息子が人を殺したことも知らずに死んだとわかり、最後に叫んだのが「まだ一度も謝ってもらってないっ…!」という言葉だった。


救いようのない結末だが、逮捕された加々見に田辺(鶴見辰吾)が「ごめんね。最後まで付き合うって約束したのに。ごめんね。いつかまた三人で、ドライブしよう!今度こそうどん食おう!ごめんね!ごめんね…」と謝罪の言葉を投げかける。加々見が父親からもらえなかった言葉であり、田辺が息子に言えなかった言葉。富士山・パトカー・深々とお辞儀する加々見(松下洸平)の画。そしてバックで流れる米津玄師の『感電』。「時は戻らない」「命は戻らない」そのゆるぎなさとともに、人の心の救いがあるようにも思えたシーンだった。

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