中村倫也が立つ“境界線” 『美食探偵』で心揺さぶられる対比の数々

TV 公開日:2020/06/28 28
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「怒涛、怒涛、怒涛!!」

中村倫也はドラマ『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)第8話放送前、自身のTwitterでそう呟いていた。先週の第8話放送が終わると、その言葉通り、SNS上では「怒涛すぎました…」「展開が爆裂過ぎて、あっという間に1時間過ぎた…」「こんなに感情かき乱されるドラマもなかなかない」などとファンは沸いた。「#美食探偵」「明智さん」はトレンド入り。「え?美食探偵どうなんの?」「次回が気になりすぎて寝れない」と、最終回に向け視聴者の心はザワついている。


本作は、三度の食に命をかける私立探偵・明智五郎(中村倫也)が、弁当屋の小林苺(小芝風花)を巻き込みながら、食にまつわる殺人事件を解決していく。苺は明智に恋心を抱くが、事件を操る殺人鬼“マグダラのマリア”(小池栄子)と明智は、禁断の愛で惹かれ合っている。


ドラマのキービジュアルで苺の背景は白、マリアの背景は黒。その境目に立つのが明智。怒涛の展開に沸いた第8話だが、その中には様々な「対比」があった。最終回を前に、今回はそんな視点で8話を軸にドラマ『美食探偵』を振り返ってみたい。

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「ねぇ、人殺しがアイドルしちゃダメって、誰が決めたの?」

苺(小芝風花)の友人で地下アイドルのココ(武田玲奈)は、マリアの手に墜ち、ストーカー化したファン・田畑(森永悠希)に、食べると7日後に死ぬという毒キノコ・ドクツルタケを食べさせた。「今ならやり直せる。だってココちゃんはマリアに操られてただけなんだから」と涙ながらに訴える苺。しかし、正論は通じない。必死に信じようとする希望の言葉に、「ねぇ、人殺しがアイドルしちゃダメって、誰が決めたの?」と、絶望的な言葉が返ってきた。明智(中村倫也)の言った「君の友達は、もうこの世界にはいない」というセリフで、苺のいる世界とマリアのいる世界はあまりにも大きな隔たりがあるということが、はっきりと明示された。ここからマリア・ファミリーがいきいきと計画を実行し、ココは何事もなかったかのように笑顔でステージに立つ“黒”側の世界が描かれた。


絶望から救ってくれるのは、明智お手製のちくわの磯部揚げ。明智にとって苺が作るちくわの磯部揚げは、どんなに嫌な事件があった後も、食べると「妙に心がやすらぐ」「この世界に二つとない」一品。明智が作った磯部揚げを味見した苺は「悪い。最悪です。よくもまあこの程度の料理で今までねちねちねちねち人の料理のこと言えたもんですねぇ。」と、いつもの調子を装う。そんな苺を見つめる明智。このシーンの二人の愛情深い表情に救われる。


明智:「僕の事務所で、一緒に暮らさないか?」
苺 :「は?」


ピアノのグリッサンドにウッドベースの音楽が流れたら、一気にコミカルな世界へ。シリアスからコメディへ。毎度のことながら、魅力的な劇伴とともに切り替わるスイッチが楽しい。ここから明智の過保護、高橋くん(佐藤寛太)の「あけT!うらやま!!!」発言、苺&桃子(富田望生)のパジャマトーク。コミカルとシリアスの対比を伴って、“白”側の世界が描かれていった。


そんな“白”の世界も、衝撃のラストに向かってどんどん“黒”で塗りつぶされていく。年老いた“貴婦人”が苺を誘き出し、命を狙う。貴婦人に変装していたマリア(小池栄子)はその顔を剥がし、タブレットで苺に見せたのは、ドクツルタケを食べて七日目を迎えた田畑(森永悠希)とココ(武田玲奈)の姿。田畑が吐いた黒い血を顔に浴びてほほ笑むココの狂気たるや、それはおそろしいものだった。

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