『ハケンの品格』仕事の“やりがい”とは?「明日からやめなさい」春子の言葉が心に刺さる

TV 公開日:2020/06/25 13
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宇野の物言いはストレートなあまりグサッとくる視聴者もいたかと思うが、このドラマでの派遣社員と正社員の格差を明確にしている。観ているこちら側も思わずその場の空気を感じ取って、気まずい気分になってしまう。


しかしこの宇野のセリフは、春子によって回収されるのだ。


プレゼンの本番。小夏の書いた企画を求められた浅野は、大慌てで会社に企画書を持ってくるよう要望する。春子が自転車で届けることになるのだが、春子が蕎麦屋の会長に気に入られていることを知った宇野は、プレゼンを春子に依頼。「大事な仕事を任せていいんですか?派遣は言い切れませんが」と前置きした春子は、宣言通り、語尾がとぎれとぎれの不自然なプレゼンを行う。宇野が小夏に放った「なにかを言い切れるのは社員だけ」という発言を皮肉った行動だった。


プレゼンが無事成功した後、小夏が改めて派遣の仕事を頑張る決意を春子に伝えると、春子は言う。


「派遣には会社の責任は取れませんが、派遣にだって取るべき責任はあります。それは、自分に対する責任です。派遣なんかなどと自分の仕事を軽く低く考えるのは、あまりにも自分に対して無責任です。明日からやめなさい。すぐにやめなさい」。



これは小夏の「派遣の仕事ってどうでもいい仕事なんですか」に対する、春子なりの答えなのかもしれない。派遣だけでなく、働く者すべてに向けられたメッセージのようにも思える。責任、責任、と何かと問われる現代社会。立場によって責任の重さはあるにしても、やはり最終的な責任の所在は、いつも自分の中にあるのではないか。


さらに、これとは別に印象的だったシーンがある。終盤で課長・里中賢介(小泉孝太郎)と春子が偶然、並んで立ち食いそばを食べるシーンだ。その蕎麦屋は、天ぷらを頼むとその場で揚げてくれ、暖かいものが安くすぐに食べられる。忙しく働く社会人にはとても助けになる、個人営業のこじんまりとした店だった。しかし、後日里中はその店が閉店することを知る。


このドラマの舞台は、新型コロナウイルスが蔓延していない、2020年春。コロナ禍の中で取り上げられている問題のひとつに、倒産や個人経営店の閉店がある。第1話から「桜を見る会」などの時事問題にも触れてきたドラマだが、里中が重く口にした「資本力のある店なら、時代の変化に対応しつつ生き残っていくことができると思います。でもこういう小さい個人経営のお店は、時代の流れに飲み込まれるしかないのかもしれないですね」という言葉には、今の日本の現状が大きく反映されているようにも見えた。



『ハケンの品格』

2020年4月期日本テレビ水曜22時~23時

 第3話 7月1日(水)夜10時~

<出演者>    篠原涼子 小泉孝太郎 勝地涼 杉野遥亮 吉谷彩子 山本舞香 

中村海人(Travis Japan/ジャニーズJr.) 上地雄輔 塚地武雅(ドランクドラゴン) 

大泉洋(特別出演) 伊東四朗


©日本テレビ


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※本記事は掲載時点の情報です。

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