中村倫也主演『美食探偵』の“震える”瞬間、美しく巧みなフィクション

TV 公開日:2020/06/21 28
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切なさ、恐怖、美しさ、そして巧みさ。ドラマ『美食探偵』には“震える”瞬間が、いくつもある。


ついに本編放送が再開された中村倫也主演ドラマ『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系・毎週日曜よる10時30分~)。残すところ放送はあと2回。最終話は30分拡大スペシャルで放送される。中断前の第6話が放送されたのが、およそ1か月前。新型コロナウィルスの影響を受け、その後3週にわたり特別編を放送。先週14日に待望の第7話が放送された。


本作は、超美食家の私立探偵・明智五郎(中村倫也)が、弁当屋の小林苺(小芝風花)を助手として巻き込みながら、食にまつわる殺人事件を解決していく。苺は明智に恋心を抱くようになるが、事件を操る殺人鬼“マグダラのマリア”(小池栄子)と明智は、禁断の愛で惹かれ合っている。


第7話には、ドラマ『美食探偵』の様々な“震える”魅力が詰まっていたように感じられる。怒涛の最終章の入り口を少し振り返ってみたい。



苺の友人で地下アイドルのココ(武田玲奈)が、ファンからストーカー被害に。明智がボディガードを依頼された。

まず恐怖で震えさせたのは、ストーカー化したファン・田畑(森永悠希)。


ココの自宅アパートを訪れ「おやすみ」と気味の悪い笑顔を浮かべ、明智が写ったココの瞳の写真をDMで送りつける。視聴者からは「怖すぎたし、キモすぎた」「ぞわぞわした」などのコメントと同時に、「リアルな気持ち悪さ」「リアルにいそうな勘違い野郎」と俳優・森永悠希の怪演ぶりに大きな反響があった。


「なんなんだこの異様な光景は…」と明智(中村倫也)が言った地下アイドルのライブは、人数もまばらなのがまたリアル。そしてオタ芸で盛り上がるファンの口元にはマスクが。しかし、おそらく推しメンのカラーに色分けされたマスク姿は、コロナの現実に引き戻されるわけでもなく、ドラマの世界に馴染んでいる。アイドルとファンの関係について、実は“ドルオタ”だった上遠野警部(北村有起哉)が放った「永遠のディスタンスじゃ!」という一言は、「今年一の名言」という声も聞かれたほど。「俺はただのファンなんじゃ!コネとかつこうたら純粋なアイドルとファンの関係じゃのうなってしまうがじゃ!」というファン心理に多くの共感の声が上がった。


そんな説得力のある一言の後で、近づこうとする推しメンみわ(水谷果穂)に「ディタンスじゃ!」と後ずさりする上遠野の様子は、フィクションの中でリアルに存在し、今ある状況の中で見事に作られた演出の巧さに心震えた。


ココ(武田玲奈)はマリア(小池栄子)の手に墜ち、堕天使へと変貌を遂げる。「本当の私の心は今ここに解き放たれた。私は、私でいいんだ」。マリアの影が色濃く見えるセリフで浮かべる表情は、美しく、色を失っている…。「武田玲奈さんの表情の変化に震え上がった」「死んだ目が綺麗すぎた」「この美しさが辛い」。武田玲奈が見せた“美しい闇堕ち”に震えあがり、称賛の声が相次いだ。


高笑いするマリア。感情のまま殺しを実行するマリア・ファミリー。しかし、そこには「あまりにもカッコ良すぎる」「弱者の味方になってくれる時あるから、絶対の悪ではないと思ってしまう」と魔性の魅力を持っている。マリアには、恐ろしさと同時に狂気的な美しさで心震えるというもの。

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