中村倫也主演『美食探偵』独特な設定に誘い込む“悪くない”1時間

TV 公開日:2020/04/19 19
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「悪くない。うん、悪くない」


中村倫也が主演を務める日曜ドラマ『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系、毎週よる10時30分~)は、“悪くない”ようだ。


コロナの影響で放送開始を延期するドラマが多いなか、予定通りスタートした本作。12日に放送された初回では、「中村倫也」「#美食探偵」「小池栄子」がTwitterでトレンド入り。「テンポも良くてキャラもみんないい!」「1時間早い」「引き込まれる」「キャラの再現性が高い」「飯テロ」「次回も観てみたいと思わせるドラマ」と、反応も上々だ。


原作は、大ヒットメーカー・東村アキコ初のサスペンス漫画。三度の食に命をかける超美食家の私立探偵・明智五郎(中村倫也)が、「食」が動機となる殺人事件を「食」を通じて解決していく。タイトルからして、1話完結の事件ものと思う方もいるかもしれないが、この作品で特徴的なのは、小池栄子演じる平凡な主婦が、世の中を震撼させる殺人鬼・マグダラのマリアへと変貌を遂げ、そのきっかけが、明智五郎その人であるということ。そして明智とマリアは、探偵と殺人鬼という対立関係でありながら男女として禁断の愛で惹かれ合うのだ。


この特異な設定が、第1話の前半わずか30分強であっという間に展開。中村倫也が、「性格ひん曲がってるし、こだわりばっかりでいちいち細かくて面倒くさい」超変わり者でありながら、マリアに「もう一度あいたい」と思わせる魅惑の明智像を作り上げ、小池栄子は、地味な主婦から狂気の笑顔を見せる妖艶美女へ変貌。2人の演技合戦に自然と引き込まれる。


そんなシリアスでムーディーな雰囲気を、小林一号(本当は苺)演じる小芝風花が見事なコメディエンヌっぷりでスルッとぶち破っていく。明智が睡眠薬を飲まされうつろな意識の中で、自殺するかもしれないマリアを追うよう苺に頼む場面でも、大真面目にスマホのAIアシスタント「OKクルックー」「葉山、自殺スポット、ランキング」と問いかけ、「出た!」「どこだ」「崖!」。緊迫した場面ですら、苺と明智のスピーディーでコミカルな掛け合いが挟まれる。


さらに、ここに北村有起哉演じる上遠野警部と、佐藤寛太(劇団EXILE)演じる新米エリート刑事・高橋がコメディー要素を隙あらば投下。登場しただけで思わず吹き出してしまう残念ナイスキャラな上遠野と、“明智大好き”感が可愛い高橋のコンビも存在感抜群だ。


もう一つ、忘れてはならないのは、マリア(小池栄子)が殺人鬼となった動機だ。マリアは夫の浮気調査を明智に依頼。毎日お昼に若い女性のアパートへ通っていた夫は、関係を持つなどといういわゆる浮気はしていない。しかし、マリアは許せなかった、「食事はどちらかが死ぬまで続く、大事な夫婦の営み」。自分は夫のために、「ただお腹を満たすためだけに食べる夕食」を作り続けたのに対し、若い女性にはスパイスや香草が入ったいろんな料理を作らせた。そのことが許せなかったのだ。独特の設定、個性的なキャラクターとマンガ的な要素の中に、リアルで繊細な心情が描かれている。

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