タクシードライバーになるにもトラックドライバーになるにも、普通免許証のほかに特別なライセンスが必要なように、F1ドライバーになるには特別なライセンスが必要である。その名も“スーパーライセンス”。「オレ、すごい速いから」と言って、何億円かを持参してF1が開催されているサーキットで「乗せて」とお願いしても乗れないのである。
スーパーライセンスを取得するための条件の一つに、国際的なレースの年間ランキングに応じて与えられるポイントを「3年間で40ポイント獲得すること」というのがある。現在、日本人レーシングドライバーでこのポイントを保持しているのは数名で、そのうちのひとりが松下信治だ。2017年シーズンは世界トップ2カテゴリーのF2に参戦し年間ランキング6位、10ポイントを獲得した。今シーズンは日本に戻り、全日本スーパーフォーミュラ選手権にDOCOMO TEAM DANDELION RACINGより参戦している。スーパーフォーミュラもスーパーライセンスポイントの対象となるレースである。
7月8日(日)に富士スピードウェイで開催された『2018年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第4戦』の決勝レース終了直後、レーシングスーツから着替えたばかりの松下選手に話を聞くことができた。この日は参加19台中、9位。もちろん優勝するためにここにやってきて、望んでいたものとはほど遠いリザルトを受けて「難しかったですね」と彼は切り出した。ここまで鈴鹿サーキット、AUTOPOLIS 、スポーツランドSUGO、そして今回の富士スピードウェイと4戦を闘ってきて結果はまだ出ていない。「1周のタイムを競う予選は一発勝負なので自分としても自信を持っているのですが、決勝レースはコースの特徴によってチーム力の差が出たり展開が違ってくるので、そこが難しいです」