バンドウ加入の織戸学エグゼクティブアドバイザー、その狙いと初仕事の効果

ニュース 公開日:2018/03/27 64
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■監督が望む“エグゼクティブアドバイザー”の役割

“エグゼクティブアドバイザー”という肩書きは他チームでも見られるが、マサ監督が織戸に求める仕事はどんなものなのだろうか。率直な疑問をマサ監督にぶつけてみると、こんな答えが返ってきた。

「僕はもともと、レーシングドライバーじゃないんですよね」とかつてはサッカーに熱中していたマサ監督は語る。

「他チームの監督は、星野一義さんも脇阪寿一さんも、レーシングドライバー出身なんですよね。僕にはもちろんエンジニアもいて、監督の仕事を飯田章さんや織戸さんからいろいろ教わってやってきた。でもスーパーGTのレベルが高くなるにつれ、ドライバーが欲しい情報が、僕の気付かないところでもっとあるはずだと思っているんです」

「予算がなかったからか、僕は監督もオーナーも、他のさまざまな業務も全部やってきた。僕の目標はGT500で勝つことで、それは達成した。次にチャンピオンという目標があるんですが、それに向けて強いチームにしないといけないと考えたとき、足りないところを補おうと思ったら、それを明確化しなければいけないと思ったんです」

「今のGT500はGT300との兼ね合いも大きいので、ドライバー目線で見られるところがないと困るな……と思った。その部分と、ずっとヨコハマタイヤを使っていて、その進化を知っている人が必要だと思ったんです。ヨコハマ内で人員が変わったときに、間違った方向に行っていないかを見極める人が必要だった」

ドライバー出身で、ヨコハマタイヤのことを良く知っている男。織戸からの電話を受けたマサ監督は、チームをさらに強化するために、古巣を良く知り、条件にピッタリ合う織戸を“エグゼクティブアドバイザー”としてチームに招き入れることを決めたというわけだ。

「ずっとヨコハマを履いている“ミスターアドバン”がチームに必要なんだと考えたんです。全体を見たなかで、僕のチームの方向性がブレていないかの確認をしてもらおうと。会社で言ったら監査役みたいなポジションで見てもらいたいですね」

■「ドライバーよりも楽しいかも」。ヨコハマとドライバーの繋ぎ役に

こうしてエグゼクティブアドバイザーに就任した織戸は、富士での公式テスト初日こそ「ちょっと戸惑いがあった」というが、マサ監督からのリクエストを受け行動を開始した。無線をつけコースサイドに行き、GT500の走りを観察。走行が終わったらピットに戻り、ドライバーのコメントを聞き、そのときに履いたタイヤに関するコメントを、まるでエンジニアのようにノートに書き記していった。

「2日目はだいぶ慣れてきて、すごく楽しい。レースになってみたら分からないけど、ドライバーよりも楽しいかもしれない(笑)」と織戸は語ってくれた。

「しばらくGT500は意識していなかったけど、無線を聞いて、コースに行って見たり、ドライバーのコメントを聞いていたりすると、だんだん走りとリンクしてくる。他のGT500の動きも外から分かるようになってきたし、何をやっているかもだいたい分かってきた。2日目で流れはだいぶ理解した」と織戸は言う。

また、非常に興味深いのはマサ監督の希望にもあったタイヤ作りの面。「タイヤの構造やコンパウンドもたくさんあるけれど、今までドライバーとしてやってきた流れから理解できてきている。今やっているタイヤの方向性と、どういうタイヤにしたいかというタイヤ作りも、なんとなく理解できた」というのは、さすが“ミスターアドバン”だ。

「僕としては、タイヤ屋さんの目で見たいのね。タイヤ作りの勉強をしたい。ドライバーの言っているコメントをヨコハマにドライバー目線でうまく伝えられて、タイヤ屋さんが言っていることをドライバーに伝えられるポジションになることができれば」

そう語る織戸は、スープラや自身が手がける“チーター”を走らせているときのような、子どものように輝く目をしていた。

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