自身でのボカロ楽曲やセルフカバー楽曲ではもちろん、大ブレイク前のyamaやAdoをfeat.しバイラルヒットを記録している、くじら。
昨今ではDISH//『君の家しか知らない街で』やSixTONES『フィギュア』などの楽曲提供でも音楽チャートを賑わせている。そんな、くじらが8月17日、初となる自身での歌唱アルバㇺ、『生活を愛せるようになるまで』をリリースする。今回は、くじら本人に自身での歌唱について、アルバム制作にかける想い、作曲のバックボーンなどを語ってもらった。
――くじらさんは楽曲提供やボーカルを招いての作品発表、ボカロPとしての活動と幅広いですが、ご自身での歌唱についてはどのようにお考えですか?
おっしゃる通り、僕には色々な活動形態があります。なんな中で、もともと僕のいたボーカロイドのフィールドが2019年~2022年の間に大きく変化したんです。
具体的には、サブカルチャー、カウンターカルチャーと言われる地下で展開されていたものが、メインストリームに開かれたと言いますか。
それに応じて「自分も活動の幅を広げたいな」と歌唱も始めることになりました。
――「生活を愛せるようになるまで」はおしゃれでキャッチー、なにより音楽センスのほとばしる作品に仕上がっております。レコーディングや制作時の印象的な出来事やエピソードなどございましたら教えてください。
ありがとうございます。
基本的にアレンジからギターやベースの演奏も全部自分でやるんですけど、今回のアルバムでは演奏やアレンジを他の方にお願いしたものが多いです。
例えば、「キャラメル」という曲や「いのちのせんたく」という曲では、ギターをサトウカツシロさん、ベースを櫻井陸来さんにお願いしているんです。
お2人のプレイヤーは、以前SixTONESさんに書いた「フィギュア」という曲でお世話になっていた方々で、今回も楽曲に合うと思ってお願いさせて頂きました。
お2人の創造力を信頼しているので、自分からの細かいリクエストは無しでお願いさせて頂きました。
なので、スタジオでお2人が録音されるのを聞いている間は本当に楽しかったですね!
――デビュー曲「アルカホリック・ランデヴー」の印象からピアノがくじらさんの作曲バックボーンかと思っていましたが、ベースのご経験の方が作曲に活かされているのでしょうか。
元々僕はベースが一番得意で、楽曲制作の上で頑張ってギターを弾いているという感じです。
他の楽器は全くなんですよ。
それでも、おっしゃっていただいた通り、ピアノがバックボーンにあるのかなと思って頂けるくらいにメインに据える事を意識しています。
――もう少し詳しく聞かせて頂いてもよろしいですか?
僕自身がベーシストだったり、バンドをやっていたこともあり、ギターロックが大好きなんです。
「くじら」という活動を始めるにあたって曲を作るわけですけど、ギターロック曲にしても他のジャンルの曲にしても、自分一人でパソコンを使って作らなければいけないじゃないですか。
そこで「音楽でごはんを食べていこう」ということ考えるわけです。
現状で世に出ている音楽って、ほとんどプロのミュージシャンやプロのエンジニアさんの手が加わっています。
音の面でもいいアンプ、いいマイク、いい環境で録音されていたりと沢山のプロの手が加わったうえで送り出さています。
それが音楽の現場では「標準レベル」として存在しています。
これにいきなり勝つのは難しいだろうと思い、なるべくパソコン内で勝負できるものは何だろうと考えた時、シンセサイザーであったりピアノの音をメインに楽曲を組み立てていったら、メインストリームにある「標準レベル」と遜色のないものが出来るんじゃないかという算段が生まれました。
そこでピアノをメインに置いた楽曲でスタートという形になりました。
――なるほど!納得いたしました。くじらさんは「ボカロ」のフィールドにもかなり早い段階から足を踏み入れらえているということもあり、かなり音楽シーンなども研究されていたり分析されているんですね。
そうですね。元々音楽が好きで、ずっと聞いていたというところが大きいのだと思います。
ボカロに関しては、小学生の頃少年ジャンプでこち亀(こちら葛飾区亀有公園前派出所)を読んでいた時、保可炉衣土(ほかろいと)というキャラクターが出てきて興味を持ったんです。
当時はボカロも黎明期で、秋葉原で局地的に起きているムーブメントくらいの時期でした。
僕の家は厳しい方だったので、パソコンで調べることも出来ずにしばらくは話がわからずにいたんです。
たまたま親がいない時がありまして、パソコンで「初音ミク」と調べてみたら…、「初音ミクの消失」という曲が出て来たんです。
もうこの曲を初めて聴いた時に、「こんな音楽がこの世の中にあるのか!?」という衝撃を受けたんです!
そこからずっと今に至るまで聴き続けていますね。
――まさか原点にこち亀の影響があったなんて!そんな、くじらさんの作曲スタイルは詞が先行だそうですね。
元々、音楽に限らず小説を書いたり、詩を書いたりと、言葉や文章を書くことが得意と言いますか、客観視しながら作ることが得意な部分だと思っています。
音楽って、メロディー、歌詞、伴奏で完成しますよね。
伴走ってギターやピアノ、あるいはパソコンがないと難しいです。
メロディーは思いついても、いつでもボイスメモでメモしたりできるわけじゃないじゃないですか。電車の中だったり、友達と一緒だったりするとボイスメモなんか使えませんし。
歌詞だったら24時間いつでも考えられるし、すぐにメモを取ることが出来るので、一番時間をさける割合が多いということで、歌詞を先に作っているのかもしれません。
――歌詞の浮かびやすいタイミングはありますか?
映画を観たり小説を読んだり、色んな作品に触発されて書くというのが多いかもしれません。
日常で人と会話をしている時にも、「この何気ないフレーズを全然違う文脈に置き換えたら、凄くキレイな文章になるんじゃないか」と思いついたり。
そういったモノをメモして~というのが多いかもしれません。
――作りこむ世界観でこだわっていることはありますか?
楽曲では、なるべく楽曲が完成してからも客観視すること、甘えが入っていないかも意識しています。
今っぽい音や、自分が今聞きたい音楽や曲調をそのまま出すということも心掛けています。
歌詞に関しては、なるべくファンタジーを書かないということを意識しています。
――今作「生活を愛せるようになるまで」は色とりどりな13曲が詰まっていますが、ご自身で思い入れの深い曲を1曲選ぶとするとどちらになりますでしょう。
全部思い入れ深いんですが…、敢えて1曲選ぶとすると、「悪者」ですね。
この曲が出来たことによって、自分でも歌おう、このアルバムを作ろうと思えたので。
――「悪者」で言いますと、くじらさんは、じん氏の『カゲロウプロジェクト』というマルチメディアプロジェクトに影響を受けているそうですね。「悪者」でのメディアミックスという展開は念願の物でしたか?
そうですね。
カゲロウプロジェクトは、それ自体がお話になっていて、そういうのがやりたいという思いはありました。
ただ、「悪者」メディアミックスの際にその憧れを思い切り意識していたということはありませんでした。
ただ根底に流れていたということはあると思います。
――お忙しい昨今とは存じますが、息抜きや気分転換にハマっていることや最近凝っていることなどございましたら。
最近はもうずっと映画を観てますね。
2時間ヒマだな~と思ったら、映画を探して観てます。
劇場でも観ますし、ネトフリやアマプラを使い家でも映画を観てます。
ホラーだけはあんあり観ないですが、ザ・エンターテインメントという映画から恋愛もの、ドキュメンタリーと幅広く観ています。
何でも観ます、ホラー以外なら(笑)。
――まさかホラーが苦手だったとは!タイトル「生活を愛せるようになるまで」にちなみまして、最近「生活」で新たに気付かれたことや、発見した愛すべきことなどございましたら教えてください。
最近、友達とトンカツを食べに行ったんですが…、これが「今まで食べていたトンカツって何だったんだろう!?」と思えるくらいに美味しくて。
ちょっとこれは色々探してトンカツの美味しさを探求していくのも面白いなと思えました。
なので、最近では「トンカツの愛すべき美味しさ」を発見しましたね。
一同:
(笑)。
――それでは最後になりますが、「生活を愛せるようになるまで」の魅力を視聴者に向けよろしくお願いいたします。
いろんな色があるアルバムに仕上がっているので。どれか一曲でも好きだなと思って頂けると嬉しいです。
もちろん自分は全曲好きです。
ライブもやる気なので、是非来て頂ければと思っています。
■くじら 初の歌唱アルバム「生活を愛せるようになるまで」
2022年8月17日(水)発売
数量限定完全生産限定盤:CD+オリジナルグッズ、特殊パッケージ仕様 / \8,000+税 / SRCL-12191~2
ご予約はコチラ⇒ https://smr.lnk.to/wdsseikatsuCDnWN(外部サイト)
通常盤:CDのみ / \3,300+税 / SRCL-12193
ご予約はコチラ⇒ https://smr.lnk.to/wdsseikatsuCDlWN(外部サイト)
■くじら「生活を愛せるようになるまで」店舗別特典
※各特典は、数量限定・予約者優先先着順となります。
・TOWER RECORDS全店(オンライン含む/一部店舗除く):オリジナルステッカー(TOWER RECORDS ver.)
・Amazon.co.jp(ECサイト):メガジャケ
・楽天ブックス(ECサイト):オリジナル丸型缶バッジ
・応援店特典:オリジナルステッカー(応援店 ver)※対象店舗は後日発表
・セブンネットショッピング:ミニスマホスタンドキーホルダー
・TSUTAYAオンライン早期予約特典:オリジナルスクエア缶バッジ(2022年7月4日(月)17:00~7月24日(日)23:59までの期間中に、TSUTAYAオンラインショッピングにてご予約いただいた方に、早期予約特典をプレゼントいたします。)
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