海宝直人がヴォーカル「CYANOTYPE」、新たな挑戦積み 作り込んだアルバム

音楽 公開日:2021/09/01 13
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国内にとどまらず海外からの評価も高いミュージカル俳優・海宝直人がヴォーカルとして活躍するバンド「CYANOTYPE(シアノタイプ)」。


エモーショナルなロックに、情感あふれ、時にシアトリカルなヴォーカルが魅力の本格派として評価も高い。そんな彼らが2021年8月18日、ミニアルバム『PORTRAITS(ポートレイツ)』をリリース。


早速メンバーのもとを訪ね、「PORTRAITS」制作秘話や込めた思いなどを聴いてみた。


――早速聴かせて頂きましたが、『PORTRAITS』はこれまでにないほど大人っぽく重厚な作品に仕上がっています。こだわりのポイントなど教えてください。

海宝直人

今までの作品とは違い、『PORTRAITS』では、「新しい可能性発見していきたい」というコンセプトで制作が始まりました。

アレンジャーの方々にも様々な方面をプロデュースして頂いたので、西間木くんの持っている世界観もポテンシャルが花開いたと感じています。

CYANOTYPEとしても新しいアプローチで挑んでいますが、僕自身も新しい形でディレクション受け「声」という意味でも新たなチャレンジが出来ています。


西間木陽

確かに「歌」や「声」に関して、1st Album「MONTAGE」からのチャレンジは大きいと思います。

特に「キャラメル・シティ」や「紬 -tsumugi-」では、10年間CYANOTYPEとしてやってきたものから、新しい表現を模索し、「ボーカリストとしての変化」という境地にたどり着きました。

仮歌の状態で既に変化があったので、ベースとギターもボーカルの変化に合わせていく必要性があり、音作りも機材から一新し、表現方法も含め全く新しいものになっています。

そういった意味合いでは、ベーシストとしても新しいチャレンジが入った作品になっています。


小山将平

ギターに関しても、これまでの曲ではロックギターが多かったんですが、今回は歪んだ音も少なく、グルーヴ感を意識したものが多くなっています。

ジャズ系のフレーズを入れる余地があったので、「やっちゃえ!」と、より自分ぽいプレイが出来ていると思います。

アレンジャーさんからは、「シネマティックな雰囲気に合うギター」というテーマや、これまでの自分では思いつかないアドバイスも頂き、とても勉強にもなりました。

バンドの中のギターは思いつきやすいですけど、こういう隠し味的なギターは新しい挑戦になりました。



――みなさんに新しい挑戦や新境地があったようですが、一番変化が大きいという「歌」や「声」について少し詳しく教えてください。

海宝直人

「紬 -tsumugi-」では、どれくらい情緒的、エモーショナルになれるか、音楽的にもリズム重視でバランス感覚を意識するという新しい発見の連続でした。

エモーショナルな部分を活かすために、淡々と読み伝えるような部分を設けるといった強弱の手法も実装しています。

「届かないラブレター」では、僕が自宅で座ったまま入れる仮歌の状況に近い、自宅でレコーディングしているかのようなアプローチ、コンサートとは違う生々しさと言いますか、身近な臨場感を意識しています。

こういった「狭さ」、「狭いところで作っている臨場感を出す」という試みは新たな発見でした。



――リード曲の「紬 -tsumugi-」は「命の価値」という深いテーマになっていますが、込められた思いなど教えてください。


西間木陽

今回も僕が歌詞を書かせて頂いているんですが、「命に価値を求めるのはどうなんだろう」という気持ちがありつつも、命の価値について考えています。

「敢えて問いかけてみた」という意味合いが強いかもしれません。そのため、曲の導入も当初はイントロを付けようかというアイデアもあったんですが、ど頭で問題提起をするというショッキングな導入に落ち着きました。

人間を「個」で考えると、死んでしまうと命はなくなってしまう。

でも、人類全体で考えて見ると、その命は失われていなくて、残した言葉や行動、創作したものがこの世界に残って繋がっていく。

それらが脈々と紡がれて今があるという大きな意味合いを、この「紬 -tsumugi-」に込めています。

僕個人としても、この人生を使って何ができるのか、何が残せるのか、何が託せるのかということを考えています。

CYANOTYPEとしても音楽をつくるうえで、クラシックから紡がれる様々な音楽を聞いて、今の新しい音楽を作っていますし、この大きな流れの中で音楽という物に係っているんだなということを意識しています。



――壮大なテーマのレコーディングになったかと思いますが、レコーディング中に印象的だった出来事や、思い出にのエピソードなどございましたら教えてください。

小山将平

もちろん、深いな~、やっぱり僕らバンドなんだな~、音楽やってる意味ってなんだろうと自問自答しながらのレコーディングになったんですが、印象的だったのは…、西間木くん異常に食べるのが遅いんですよ!


一同

(笑)。


小山将平

レコーディング中の食事って時間がかなり限られていて、10分くらいしかないんですよ。

それでもみんな早目に食べ終わって、雑談をしていたりするんですが、やっぱり流れで西間木くんに話しかけちゃうんですよね。

そうすると、西間木くんも律儀にいちいち手を止めて応えてくれて(笑)。

その結果、全然食べ終わらないんですよ!

そのくせ、「よし!みんな食べ終わったら作業に戻ろう!」とか急に仕切り出したりして!

もうみんなとっくに食べ終わってるのに!


海宝直人

もうちょっと音楽的なエピソードあったでしょ!


小山将平

いや、逆にそれ以外の思い出ってある?


一同

(笑)。


西間木陽

僕は歌のキー決めが印象に残ってる。ビックリしたから。

作曲の際、メロディーって歌う時のキーを考えないで作るんですよ。

流れるままに作って、作り終えてから「海宝くんならどのキーで歌うかな」と設定していくんです。

「どのキーがいいかな」という意味合いで、当初作曲した際のキーから順々に下げた5つのパターンをデモ音源として海宝くんに送ったんですけど…。

「全部歌ってみたんですけど、一番高いキーがいいかもしれないです」って返事が来たんですよ!

いやいやいや!これめちゃくちゃ高くて男性キーじゃないから絶対無理が出ちゃうよ!厳しいよ!って思ったんですけど…、実際に海宝くんが歌ったのを聞いてみたら、凄く良いんですよ!

しかも、パッと聞いてそんなに高く感じないというところに、海宝くんのポテンシャルを感じました。


小山将平

あ、ちょっと待って。音楽的な話してるとこ悪いんだけど、さっきのエピソードちょっと違ったわ。

西間木くんの話。

「よし!みんな食べ終わったら作業に戻ろう!」じゃなくて、「パッと食べ終わってやりましょう!」だ!みんなとっくに食べ終わってるのに。

ここの部分だけ表現修正でお願いします。


一同

そここだわる必要ないから!(笑)。


小山将平

音楽的な話で言うと、「届かないラブレター」では、ギターが一発録りだったので驚きました。

アレンジャーの石塚知生さんの、「上手すぎる部分をどこまでナチュラルにできるか」という発想なんですが、僕は基本的に、家でじっくりフレーズを考えてくるタイプなんです。

そうすると、どうしても複雑でおしゃれなものであったり、ギタリストがニヤッとするようなフレーズになりがちなので、今回は「考えてこないで」というオーダーがありました。

そのまま、いきなりレコーディングブースに立たされて、考える時間なしにレコーディングが始まるんです。

その場の思いつきで出たバージョンがそのまま採用になったので、逆に良かったと思っています。


海宝直人

僕も全く同じで、石塚さんに「事前に練習しないでそのまま来てください」って言われ、パッと歌ったパーソナルな感じがそのまま採用になり、結果的に身近さが感じられる作品に仕上がったと思っています。


小山将平

海宝くんも俺も、何も作りこまない「素の状態」でレコーディングに挑めたんだけど、西間木くんは?


西間木陽

いや~、こねくりまわしました!大変でしたよ!


一同

(笑)。


西間木陽

それでもベーシストとしては、素朴であったりシンプルな感じで挑めました。曲調にも合ってるかと思います。

その他の部分でこねくりまわしがあったんですが、それも全てアレンジャーさんがくみ取ってくださって本当に感謝しています。

「ブラッシュアップ」とはまさにこのことだと思いました。

――お忙しい昨今かとは思いますが、最近のハマり事などありましたら教えてください。

海宝直人

今年の僕はもう…、「エヴァンゲリオン」にハマってますね。

前から見たいなとは思いつつも機会がなかったんですが、後輩にエヴァ好きがいて、強制的に1話~3話を見させられたんです。そのまま面白いなと思って続きを見始めたら、止まらなくて!

それであの伝説の25話26話ですよ!これは…、凄い!と思って、当時賛否両論あったアニメ史に残る問題作「旧劇」(旧劇場版作品「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」)を見たら、もうラストが思いっきり刺さってしまって…。

これをリアルタイムで見た人たちが、今の「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」を待ってるんだ!と思ったら、歴史の生き証人として「見るべき」という結論に至り、劇場に観に行ったんです。

やっぱり映画は素晴らしくて、結論を踏まえたうえでもう一度見ようと劇場にもう一度行ってみたら…、さらにもう2回行くことになりました。


一同

ハマりすぎ(笑)。


小山将平

もう考察サイトやら考察動画も色々見てたり、エヴァ関連の文献も読みまくってるので、恐らく今一番エヴァンゲリオンに詳しい人ですね。


一同

(笑)。


小山将平

僕は今更海外ドラマにハマってます。

「24」や「プリズンブレイク」、「スタートアップ」、「梨泰院クラス」なんかを見ています。

正直、海外ドラマって「長い」というイメージが先行していて、見たことがなかったんです。

ご時世的に長いステイホームになってしまったので、一旦見てみようと思って見始めたら…、「なんであんな面白いの!?」って無限に見れちゃう状況になってしまって!

知ってます?「24」なんか無限に見れちゃいますよ!


一同

おせーよ(笑)。


小山将平

性格的にみんなが騒いでる時期に乗っかれないんですよ。食わず嫌いと言いますか。

それで、誰も話題にしていないころに見だすという。

結論として、多くの人が騒いでいる作品って面白いですよ!

「プリズンブレイク」も一気に全部見ましたし、「梨泰院クラス」は曲も良かったですね。


西間木陽

僕がハマっているものは…。


小山将平

セガサターンじゃない?


一同

(笑)。


小山将平

西間木くんを構成してるものって、ラーメン、鹿島アントラーズ、ドラえもん、セガサターンだからね。


西間木陽

まぁ確かにそうなんですよ。

本気でSEGAを応援してるんです。

実際、SEGAは良いものを作ろうとしてたんですよ!いまだに「SEGAがハードを作り続けてくれていたら!」って思いますね。



――そこまで西間木さんがセガサターンに思い入れがある理由ってどのようなものなんですか?

西間木陽

うちは僕を含めての3兄弟なんですが、3人で1つのクリスマスプレゼントとしてセガサターンをおねだりしたんです。

ゲーム機なんて高いですから、普通ならソフトが買えなくて、さらにソフトを買ってもらえる日まで待たなければならないはずなんですが…。

SEGAは「ChristmasNiGHTS 冬季限定版」を全員プレゼントしてくれたんですよ!!

もうこのクリスマスナイツは名作中の名作で、ゲームボリューム的には少なめなんですが、3人で何周もクリアしながら全てのイベントを消化するために遊び倒しましたね!



――めちゃくちゃ素敵なエピソードじゃないですか!確かにナイツは、「ストライダー飛竜」「ソニックシリーズ」とSEGAソフトに流れるハイスピードアクションの系譜に幻想的な世界観が加わった名作ですね。

西間木陽

おぉぉ!!まさかこんなところで「ストライダー飛竜」の名前が出てくるとは!


小山将平

ちょっと待って!西間木くん、インタビューで過去一テンション上がってない!?


一同

(笑)。


西間木陽

そんなわけで今の僕は、ソニックの最新作に期待しています!



――みなさんめちゃくちゃ楽しいインタビューをありがとうございます!それでは最後になりますが、「CYANOTYPE」Mini Album「PORTRAITS」の魅力を視聴者に向けよろしくお願いいたします。

小山将平

「PORTRAITS」には、CYANOTYPEの多様性が詰まっています。

バイキングスタイルで、ちょっとずつ美味しいものを食べられる作りにもなっています。

6曲とも違うので、アルバムの流れで聴いて頂いてもいいですし、1曲ずつじっくり聴いて頂いても楽しんでもらえると思います。

どんな方にも刺さる作品に仕上がっているので是非楽しんでみてください。


西間木陽

今回は「別れ」をテーマにした楽曲が多かったりします。

コロナのご時世で会えなかったりすることもあるかと思います。それが2週間だったりする人もいれば。永遠の別れになってしまったり。

色んな別れを経験した人に寄り添える楽曲が揃っていますので、是非聴いてみてください。


海宝直人

「PORTRAITS」は1曲1曲にそれぞれの世界観、登場人物たちの表情、そこにある風景、におい、色彩。

そういったものが聞く人の脳内に再現されるようなアルバムになったらいいなと作りこみました。

是非、世界観の一つ一つを想像しながら、楽しんで聴いていただければと思っています。



※本記事は掲載時点の情報です。

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