DREAMS COME TRUE、“ニコ生” オンライン・イヴェントがちょっとすごい

音楽 公開日:2020/11/06 46
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多くのアーティストがオンラインでのライヴ配信を実施する中、DREAMS COME TRUEのチャレンジがユニークだと話題になっている。


全9回を予定している『WINTER FANTASIA 2020-DOSCO prime ニコ生 PARTY!!!』、実はこれ、いわゆるライヴステージの配信ではなく、音楽バラエティーともいえるオンライン・イヴェントなのだ。まずは、どうしてこのような形態になったのかをDREAMS COME TRUEのベーシストにしてサウンド・アレンジャー/プロデューサーの中村正人に訊いた。


「うちがフルでライヴをやろうとすると、どうしても大掛かりなものになってしまうんですよ。準備に要する期間も長く必要になるし、それに関わるスタッフさんの数も膨大になってくる。そうするとどうしても新型コロナウイルス感染のリスクというものは避けられなくなりますから。結果、できなくなりました、ということになればお客さんをまたガッカリさせることになってしまう。だから、極力リモートで準備ができて、ライヴの要素もあって、かつツアーを感じてもらえるっていうすべての必要十分要件を満たした形がオンライン・イヴェントでした」


コロナ禍の状況で多くの配信プラットフォームの選択肢が増えたが、その中でドリカムがニコ生を選んだのにはどういう理由があるのだろうか。


「ドワンゴの皆さんがこう言っているのが印象的だったんですよ。「僕らはITじゃないんです。そういう光り輝くような場所にいるのではなくて、オタクで好きな人が集まって楽しいことをやっているだけなんです」って。とは言えすごいじゃないですか(笑)。ニコニコ超会議をやったら何十万人も人が集まるわけだし、世界的にも認知されているし。なんかそういう感じがね、ドリカムと似てるなって思ったんです。ドリカムってメジャーなようで全然メジャーじゃないですから。もちろん知ってはもらっていますけど、それはバンドというよりも例えば『未来予想図Ⅱ』とか『何度でも』といった曲に対しての認知だと思うんですよね。それともうひとつ、ニコ生特有のコミュニケーションってあるじゃないですか。文字がばーっと流れてきて、その文字を自分なりにカスタムしたり、ギフトを贈ったり。コンサートのリアクションに似た感じがあるんですよね。これはラジオにもないし、他のプラットフォームにも感じなかったところです」


こうした、ドリカムにとっての新しいフィールドでのチャレンジが、バンドを始めた頃の感覚に引き戻してくれるのだという。


「だからすごく燃えていますよ(笑)。今ようやくニコ生の中にドリカムに特化した入り口ができつつありますから、ここからドリカム超会議まで持って行きたいですね(笑)」


この取材の時点では、全9回のうち2回が終わったところだ。ちなみにこの9回というのは、本来このタイミングで行われるはずだったリアルのツアー日程に合わせたもので、各回には、例えば1回目の場合だったら『幕張イベントホールのはずだった編』というふうに、会場名が付けられているのが特徴だ。またそれだけではなく実際に各会場前から中継を繋いだり、各地の名産品紹介&プレゼントがあったりとバラエティーに富んだ構成がステージ上のドリカムにはない魅力を楽しめるものになっている。

 

そして、何と言っても見どころは、〝歌って踊らない吉田美和〟だ。そつなくシュアーに進行をしていく中村の横で、全く話の流れとは関係のない話題を持ち出したり、時に立ち上がってしゃべり出したり、そのフリースタイルな様に視聴者からのコメントとギフトの嵐が止まないほどだ。


「いやもうね、あの自由さは本当に何なんだろうね(笑)。そういえば吉田美和ってこういう人だったよなって改めて僕が知るというか。そういう彼女と僕のコンビネーションというんですかね、それが僕たちの音楽であり、音楽制作の現場であり、ドリカムなんだろうなって思いますね。これ、テレビにでは絶対こんなふうにはなっていないはずなんですよ。だからやっぱりニコ生が合ってたんだな、吉田には(笑)」


オンライン・イヴェントとは言え、中心にあるのはもちろん音楽だ。ブルーノート東京で収録した貴重なアコースティック編成によるライヴや、ドリカムの名曲をディスコサウンドに変換した最新作『DOSCO prime』の楽曲を中村&吉田のアバター、マサド&ミワスコが繰り広げるショー、さらにDJ P→★とキッズダンサーによるコラボ、各地のゲストDJ&高校ダンス部によるセッション、ドリカムのライヴにおけるダンスチーム・S+AKSによるパフォーマンスなどなど、まさに〝ドリで遊べ、ドリで踊れ〟というコンセプトを凝縮した内容となっている。


「ドリカムがどうのこうのじゃなくて全然いいんですよ。我々が生み出した音楽で、どんなスタイルでもいいから遊んでよっていうことなんですよね。だって、エンタテインメントの基本って、何やってんの?って足を止めてくれることからしか始まらないでしょ?」


モンスターバンドのデビューの瞬間が詰まったような貴重な2時間。例えば10年後、このときのことが伝説として語られる時がくる――そう思わずにはいられない。


Text:谷岡正浩

※本記事は掲載時点の情報です。