宇多田ヒカルによる主題歌、彩ったのは平成の話題作がずらり

音楽 公開日:2019/04/29 12
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先日オリコンが発表した「平成30年アルバムランキング」で、宇多田ヒカルの1stアルバム『First Love』 が1位を獲得したことが報じられた。累計売上は700万枚超え、オリコンランキングが始まって以来、1作単位の売上枚数としてはシングル、アルバムを通じ歴代最高記録となったというこのアルバムは、もはや当時は一家に一枚はあったという状態といっても過言ではないのではないだろうか。




1998年にシングル『Automatic/time will tell』を引っさげ、15歳という若さでデビューすると、圧倒的歌唱力と革新的なサウンドで当時の音楽シーンに衝撃を与えた。そんな宇多田の存在は平成を語るには外せないはず!ということで平成の終わりが間近の今、これまで宇多田ヒカルが主題歌を手がけた映像作品を一挙に振り返る。

1stアルバムのタイトルチューンでもある『First Love』は松嶋菜々子と滝沢秀明が主演を務め、最終回の視聴率は29.5%を記録したドラマ「魔女の条件」(TBS系)の主題歌。松嶋演じる高校の教師と滝沢演じる問題児の禁断の恋を軸としているものの、周囲からの辛らつな攻撃が描かれたセンセーショナルな作品として話題になった。2001年には木村拓哉の代表作として根強い人気を誇り、全11話の平均視聴率が30%を超えるもはや”伝説”のドラマ「HERO」(フジテレビ系)の主題歌『Can You Keep A Secret?』を発表。

2002年には渡部篤郎と深田恭子が出演したドラマ「First Love」(TBS系)の主題歌『SAKURAドロップス』、2004年には宇多田の『traveling』のミュージックビデオの監督としても知られる紀里谷和明が70年代に人気を博したタツノコプロの名作アニメを、製作費6億円をかけて実写映画化した「CASSHERN」(2004)の主題歌『誰かの願いが叶うころ』を、2005年には三島由紀夫の原作を行定勲監督が映画化、妻夫木聡が竹内結子主演を務めた「春の雪」(2005)の主題歌『Be My Last』をリリース。

5年ぶりのドラマへ楽曲提供となる『Flavor Of Life -Ballad Version-』は庶民の娘・牧野つくし(井上真央)と大財閥の御曹司・道明寺司(松本潤)の恋模様を描いた大ヒットドラマの続編「花より男子2」(TBS系)にイメージソングとして使用され、2007年リリース当時世界配信売上1位となっている。

さらに同年、自らもファンだと公言するTVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズのリメイク「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」(2007)に『Beautiful World』、シリーズ2作目の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」(2009)に『Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-』をテーマソングとして、エンドロールを飾った。さらに3作目の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(2012)に『桜流し』を提供した期間、宇多田は「人間活動」宣言のもと、一時活動休止中だったが、製作陣の熱烈な希望と宇多田本人の作品に対する思いもあり、テーマソングの提供が実現しており、もはや宇多田の音楽なしに「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズは語れない重要な要素のひとつとなっている。

2008年には長澤まさみ、上野樹里、瑛太らが出演しDVや性同一性障害など社会問題に深く切り込んだドラマ「ラスト・フレンズ」(フジテレビ系)に主題歌『Prisoner Of Love』、「ラスト・フレンズ」のスタッフ陣が再集結した「イノセント・ラヴ」(フジテレビ系)に『Eternally -Drama Mix-』と2作品に楽曲を提供している。ベストアルバム『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2』に収録されたシングル『Show Me Love (Not A Dream)』は、ストレートで力強い世界観に映画の制作サイドが共感したことから、同名名作コミックを山下智久と伊勢谷友介で実写化した「あしたのジョー」(2010)の主題歌として使用された。

2016年に高畑充希が人気生活雑誌「暮しの手帖」の創刊者である大橋鎭子を演じたNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」へ『花束を君に』を書き下ろし、2010年からの一時活動休止期間から本格的に再開すると、あたたかく、優しい歌詞とサウンド、ドラマの人気も相まって大ヒットとなった。ソニーミュージックレーベルズ移籍後、2017年には長瀬智也が主演を務め、吉岡里帆、坂口健太郎、大竹しのぶなど豪華キャストが脇を固めたドラマ「ごめん、愛してる」(TBS系)の主題歌に『Forevermore』を提供。YouTubeで公開された『Forevermore』(Short Ver.)の再生回数が公開後約2週間で100万回を突破するなど、その人気の高さが伺えた。

さらに山崎貴がメガホンを取り、堺雅人と高畑充希が初共演を果たした「DESTINY 鎌倉ものがたり」(2017)に『あなた』を書き下ろした。山崎監督が宇多田に主題歌を依頼するため、自らの思いをつづった手紙を送ったことからコラボが実現したというこの楽曲は、公開日が宇多田自身のデビュー記念日である12月9日だったことに不思議な縁を感じ、プロット&原作を読み込んだうえで楽曲を制作したという。

2018年には2007年に楽曲を提供した「花より男子」シリーズの続編で杉咲花、平野紫耀らが出演した「花のち晴れ~花男 Next Season~」に『初恋』をイメージソングとして提供。「花男」シリーズから10年後を舞台に、新たに描かれた物語に花を添えた。森見登美彦の同名原作を映画化した「ペンギン・ハイウェイ」(2018)は、宇多田が原作を読んで書き下ろしたという『Good Night』が主題歌に。物知りだが少し生意気な小学4年生“アオヤマ君”を主人公とする本作のひと夏の物語を想起させる楽曲をエモーショナルに歌い上げている。

以上、17曲を紹介したが、どの曲も作品は知らなくてもどこかで聞いたことある楽曲ばかりである。そんな平成を代表するヒット作を彩る曲を作り続けてきた宇多田が「令和初」、主題歌を提供する作品は5月31日に玉森裕太が主演を務め、吉岡里帆、染谷将太が共演する「パラレルワールド・ラブストーリー」。アルバム『初恋』収録の『嫉妬されるべき人生』を聴いた監督が「主題歌にはこれしかない」とオファーし、実現した。

東野圭吾の同名ベストセラーを実写化した本作は2つの世界=パラレルワールドに自分ひとりだけが迷い込んでしまった男が、その謎を追う頭フル回転ミステリー。主人公の崇史(玉森裕太)は愛する恋人の麻由子(吉岡里帆)と幸せな生活を送っていたが、ある日、目を覚ました世界では麻由子は親友・智彦(染谷将太)の恋人として存在していた。目を覚ますたびに入れ替わる世界で崇史は真実にたどり着けるのか?2つの世界をつなぐ【謎】の暗号、ひとつひとつのシーンがパズルのピースのようになっている構成に登場人物の感情が絡んでいくことによって、一筋縄ではいかないミステリーとなっている本作。すべての愛の謎が解けたエンドロールで流れる「嫉妬されるべき人生」を聴いたとき、きっと忘れられない映画体験になるはずだ。



■「パラレルワールド・ラブストーリー
出演:玉森裕太 吉岡里帆 染谷将太 筒井道隆 美村里江 清水尋也 水間ロン 石田ニコル / 田口トモロヲ
原作:東野圭吾「パラレルワールド・ラブストーリー」(講談社文庫)
主題歌:『嫉妬されるべき人生』宇多田ヒカル(Epic Records Japan)
企画・配給:松竹
©2019「パラレルワールド・ラブストーリー」製作委員会©東野圭吾/講談社


宇多田ヒカル『嫉妬されるべき人生』試聴・ダウンロードはこちら

https://pc.dwango.jp/portals/music/2713674


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