自身も作家として活動する加藤シゲアキがスランプ中の“書けない”劇作家役に挑む。4月1日(土)から4月16日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場にて、4月22日(土)から4月24日(月)大阪・東大阪市文化創造館 Dream House 大ホールにて、加藤シゲアキ主演舞台 パルコ・プロデュース2023「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」の上演が決定した。
映画監督としても活躍するフランスの若手劇作家・演出家アレクシス・ミシャリクが、トム・ストッパードの映画『恋に落ちたシェイクスピア』に触発され映画製作を構想するも資金が集まらず、先に舞台版として初演された本作。2016年にパリで上演するやいなや、上演回数700回を超えるロングラン・大ヒット作となり、ミシャリクの出世作となった。
正統派のフランス喜劇の流れをくみながら、テンポの良い台詞運び、そして、サラ・ベルナールやチェーホフなど実在の人物も登場させるなど、約120年前の演劇人やクリエイターたちに向けた劇場愛にあふれた賛辞として大人気を博した本作は、2017年のフランス演劇界最高の栄誉と言われるモリエール賞で7部門にノミネートされ、作品賞、脚本家賞、演出家賞など5冠を達成。
大ヒットを記録した舞台版の初演から2年後の2018年に、ミシャリク自身が映画化(『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』2020年11月日本公開)。舞台版は、コロナ禍を経て2021年秋にも再演され、爆笑と喝采に包まれた客席は、連日にぎわいをみせていた。いつの時代も、どこの国でも、初日の幕を上げるために必死で作品創りをしている舞台人がいる!そんな勇気をもらえる本作を、この度、日本で初めて上演することが決定した。
舞台は、1897年パリ。将来を嘱望されるも2年間という長いスランプに陥っている崖っぷちの劇作家エドモン・ロスタンに、突然舞い込んだ大きな仕事。その舞台の初日はまさかの3週間後。大女優と大御所俳優のむちゃぶり、親友との三角関係、主演女優のきまぐれ、プロデューサーからの鬼催促、完全なる資金不足、妻の嫉妬など、あらゆるトラブルにみまわれながらも、なんとか書きはじめたのは、17世紀に実在した大きな鼻の剣豪詩人の話…『シラノ・ド・ベルジュラック』。
『シラノ・ド・ベルジュラック』は、日本でも大正時代に『白野弁十郎』として翻案上演されるなど、初演から120年以上経た今もなお、世界中で上演され、ミュージカル化、映画化もされ愛され続けている舞台劇。今となっては古典、珠玉の名作戯曲となった『シラノ・ド・ベルジュラック』が、3週間でいかにして「初演」の「初日」を迎えたのか、いま、その秘密が解き明かされる。