芝居では“ジャニーズフィルター”を外す
──裕一のような“クズ男”を演じることについては、どう表現しようと思われていましたか。
“クズっぽさ”を表現するのは難しかったです。三浦監督の演出も、感覚がなかなか掴めずにいたんですが、ある日「裕一は三浦監督自身なんだ」と思ったんですよ。三浦監督に話を聞いてみると、「僕も締め切り前になると携帯の電源を切るんだ」と言っていました(笑)。それから三浦監督を観察するようになって、だんだんと自分も役にハマるようになってきました。
──普段のアイドルとしてのオーラを消していくような作業になるのでしょうか。
僕はジャニーズのアイドルって、素晴らしいものだと思っているんです。だけど、26歳の時、ストレートプレイの舞台をパルコでやらせていただいたんですが、演出の田村孝裕さんに、振り返る動作で「“ジャニーズっぽい”のじゃなくて」と言われて衝撃を受けたことがありました。ただ振り向いただけなのにキマってしまうというか、“ジャニーズフィルター”のようなものがかかっちゃうんです。それ以降、芝居の上では“ジャニーズっぽく”しないことが自分の中で課題になっていたんですが、三浦監督に出会ってからは完全に“ジャニーズっぽさ”を外してもらえたような感覚がありました。けど、三浦監督の現場が終わって、自分たちのライブになると、今度は「ジャニーズっぽく」いなくちゃいけないんですよね。
今まで必死に格好良くなるよう、キマるようにかき集めてきたものを、「芝居の時には外していかなきゃいけないんだ」と気付いて、三浦監督の現場で完全に外し切って。でも、次の日のライブではまたそれを身に着ける。この仕事ってすごい大変だな、と思いました。三浦監督と出会って、「ジャニーズっぽさ」は外れたけど、その分、アイドル業がしづらくなったという感じですかね(笑)。でもそれはそれとして、色々な方と出会って変わっていく自分も面白いなと思います。
裕一は“クズ男”?「『自分もそうかも』と思った瞬間に笑えなくなる」
──改めて、本作の見どころはどんなところにあると思いますか。
“クズ男”に見えますが、裕一は真面目ではあると思うんです。ふと、「嫌だな」「面倒くさいな」「怖いな」というように拒否反応を起こしたら逃げてしまいますが、それって実は格好良いやつなんじゃないかなとも思えるんです。僕も撮影中に逃げたいくらいでしたが、そうなると色々なことを考えるじゃないですか。多くの人に迷惑をかけると思うし、自分の場合だったら、芸能界で仕事ができなくなってしまうかもしれない。彼はそういうことを考えるよりも、瞬発的に、その時の素直な気持ちで行動するんです。
映画の前半は滑稽に見えるだろうし、「こいつクズだな」というように笑いながら見ると思うんです。舞台の時も相当笑われましたけど、後半になると、「あれ?自分ももしかして、こういうところがあるかも」というように、皆さんに突き刺さっている感じがあったんですよ。鼻で笑っていたはずが、「自分もそうかも」と思った瞬間に笑えなくなる。だから、逃げた先にどうなるのかを見たくなるし、応援したくなるんだと思います。僕自身も、自分が演じている役を見て「頑張れ」と思ったのは、初めてかもしれないです。自分というよりも、裕一として見ることができました。
取材・文:山田健史
■『そして僕は途方に暮れる』
2023年1月13日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会
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