中村倫也が圧倒的な熱量で体現する『ルードヴィヒ』 濃密な瞬間を浴びて

映画・舞台 公開日:2022/11/01 35
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壮年のルードヴィヒや青年など、この舞台でさまざまな役割を担うのが福士誠治。ルードヴィヒと対峙する役の場面もあれば、ナレーションのような役割を果たすことも。中村演じるルードヴィヒと深く交わるシーンは、「運命」という重さを体現し、「愛」と「憎しみ」が表裏一体となって押し寄せる。これを受け止めるには体力がいる。また、中村と福士の歌唱シーンは場面によって溶け合い方が違って感じられた。二人の歌声を違って感じていたはずなのに、ある時同じ響きがする。これが思いが重なるということなのだろうか。


ルードヴィヒの体に宿る「音楽」への情熱。『運命』『英雄』『田園』『皇帝』など、ベートーベンの楽曲のフレーズも登場。その「音楽」は、このミュージカルでは舞台上で生で奏でられる。ピアノと弦、シンプルでありながら上質な音色はキャストらの振り幅同様、迫力のある劇的なシーンから救いとなるような静かなシーンまで物語に寄り添っていく。キャストたちの歌をそんな音色の中で聴くことができるというのも贅沢の極み。投げられた楽譜が宙を舞い、やがて床に落ちるその音でさえも、大事に受け取りたいと思わせる空間だった。


観劇後も受け取ったエネルギーをどうしまえばいいか分からない、そんな重たいものを浴びた気分。でもその余韻にできるだけ長く浸っていたい。
中村倫也が開幕前に話した「ベートーベンが残した思いを少しでも説得力を持って」という言葉は、“ベートーベンの生涯を演じる”ということよりも、その“残した思いを体現する”というもっと濃密な作業だったのかと考えさせられた。


相当の熱量を持って準備された舞台が、ゲネプロの約2時間の間でさらにエネルギーが高まっていくのを感じた。これが公演を重ねて千穐楽を迎える頃にはどうなってしまうのかと楽しみでもあり恐ろしくもある。同ミュージカルは11月13日まで東京芸術劇場プレイハウスにて上演され、その後大阪、金沢、仙台公演も行う。また、東京公演千穐楽と大千穐楽(仙台公演)のライブ配信も決定している。


文・長谷川裕桃


▼開幕直前取材会レポート(写真多数)



舞台写真©MUSICAL「ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~」製作委員会/岩田えり

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※本記事は掲載時点の情報です。

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