中村倫也が圧倒的な熱量で体現する『ルードヴィヒ』 濃密な瞬間を浴びて

映画・舞台 公開日:2022/11/01 35
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「ベートーベンが残した思いを少しでも説得力を持って」

中村倫也が主演を務めるMUSICAL『ルードヴィヒ ~Beethoven The Piano~』が29日、東京・芸術劇場プレイハウスで開幕。前日には開幕直前取材会とゲネプロ(通し舞台稽古)が行われた。出演者は5人。この舞台を連日、日によっては一日に2公演届けるというのか… ゲネプロで浴びた熱量の一端をストーリーのネタバレはなしでレポートする。




誰もが知る天才音楽家、ベートーベン(本名:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン)。聴力を失ってなお音楽に情熱を注ぎこんだベートーベンを取り巻く人物たちとの愛と影、喪失そして運命を描く本作で、中村倫也が青年期のルードヴィヒを演じている。


第一声から圧倒的存在感を放ち、そこから目まぐるしく変化する感情。その振り幅はとてつもなく大きく、舞台で解放されるエネルギーは爆発的だ。
才能に満ち溢れ順風満帆の音楽人生から、やがて聴力を失い絶望へ。聴力が徐々に奪われていく恐怖と苦悩、信じたくない思い。中村は刻一刻とそのグラデーションの色合いを変えていく。少年・ウォルター(高畑遼大)との少し空気の通りが変わるシーンも挟みながら、思わず“まだ序盤だったのか”と驚いてしまうほど濃密なシーンが重なっていく。


ピアノのある回転するステージは、全方位で体にみなぎる感情を見せる。特に、その背中は印象的で、記憶に画としても刻まれるような、美しさと苦しさが瞬間的に表現されていた。


絶望のなか現れる女性・マリーを木下晴香が演じている。中村と木下は、実写映画版『アラジン』でアラジンとジャスミンの吹き替え・歌唱を行った二人。優しいコーラルピンクのワンピースで歌うマリーの表情は、やわらかい微笑みのなかに凛とした芯の強さを感じさせる。


伸びやかな歌声はルードヴィヒの心を響かせ、二人の歌の掛け合いは真っすぐなマリーの思いとそれを受け入れないルードヴィヒでありながらも、心地良さすら覚えた。このマリーとの出会いが、ルードヴィヒの人生に新たな夢を生み、新たな悲劇へと向かわせる。


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