――開催概要には、メイドインジャパンを伏線とした日本の一線級の演者・アーティスト・クリエイターを集め、デジタル技術を駆使した共鳴創作とありますが、言える範囲内でどのような演目や演出が検討中ですか?
演出は超歌舞伎でご一緒させて頂いている、藤間勘十郎先生が担当してくださいます。新作歌舞伎舞踊『瑠璃光』は舞踊劇で、踊りを中心とした魅せ方、正義の獅子が悪を打つ毛振りが見どころになると思います。最新技術、バーチャル、舞踊、天地開闢(天と地ができた世界の始まり)を表現した音とプロジェクションマッピング。これらが1300年の歴史を持つ薬師寺の情景の中で展開されます。お客さん1人1人もロウソクに灯をともすことで、風景となり情景となり演出効果となりショーが始まっていきます。ご参加いただいた時点で、みなさんはショーの一員なんです。この空間を共にする方々は、我々が日常とかけ離れた幽幻郷へとお連れします。
――新作歌舞伎舞踊『瑠璃光』ではセンター花道を設けるといった斬新な演出も検討されているそうですが、どのようなきっかけで発案を?
会場が広いので少しでもお客様の近くに行けるようにと思って。実際に薬師寺の大講堂を谷川じゅんじさんと横澤さんと3人で目の当たりにした時、「これ、センター花道つけられるね」って感じたんです。そのまま横澤さんに「センター花道つけましょう!」って提案したので、ドワンゴ側はかなり慌てたと思いますよ(笑)。歌舞伎では大抵下手に花道があるものなので、このセンター花道というのは歌舞伎界では異例の演出です。もちろんその演出効果も美味しいところで使う予定です。
――(笑)。慌てるどころか楽しみがさらに大きくなりましたね!現在はお打ち合わせや練習、脚本制作など進行状況いかがですか?
戸部和久さんが脚本を書いてくれているんですけど、脚本はまだまだ手を入れ直している段階です。踊りの部分はほぼ完成しているので、僕も自分の中でイメージを膨らませています。今回はOSK日本歌劇団のみなさんも参加してくださるので、現状はそれぞれが本番に向けた準備を進めている段階です。
――中村さんの発言からは歌舞伎界への思いが強く伝わってきますが、これからの歌舞伎に対してどのような未来を切り開いていきたいとお考えですか?
伝統を守りつつ、革新を追求すること。大切な伝統を守りながら、激動の時代に必要なものを身に付け、必要のないものを捨てていく。それこそコロナ禍での変化は大きなものでした。世の中がガラッと変わりましたので、必要のないものを捨て大切なものだけを残すという思い切った考え方を身に付けることが出来ました。如何に伝統といえども、全てを踏襲するだけではなく、全てを捨てることもない。そんな革新を追求していければと考えています。
――歌舞伎界の盛り上げに関しては以前「若者たちをどう振り向かせるか」とのお言葉もありました。今回のプロジェクトでも若者の感性は意識されていますか?
今回のmeme nippon projectでは、若い方たちはもちろん、お年を召した方、お子様と幅広くみんなが楽しめる空間を意識しています。そして、みなさんが歌舞伎を身近に感じていただきつつ、それぞれの思いと祈りに込めていただいて、薬師寺現地はもちろん、配信にお越しいただければと思います。そこは必ず、心と心が繋がる空間になっています。




