“女優” 鈴木ふみ奈、外見と内面のギャップに悩んだ過去 昇華して「強みにしたい」

映画・舞台 公開日:2021/12/08 25
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デビューから10年。グラビアアイドルとして多くの男性ファンを魅了しながら、女優としての一面も持つ鈴木ふみ奈が、鬼才・園子温監督が描く青春群像劇『エッシャー通りの赤いポスト』(12月25日より順次公開)に出演する。


魅力的なヒロインが続々と登場する同作で確かな存在感を示す彼女に、作品の魅力と撮影の裏側、女優業への思いなどを語ってもらった。


鬼才・園子温監督への挑戦「どのくらい通用するんだろう」

──オーディションに参加するエキストラたちの裏側を描く本作ですが、今作への出演もオーディションで決まったのでしょうか。

そうですね。700名がオーディションを受けて、園監督自身が選抜されて、書類審査から500名になって。実際に園監督とお会いする生の審査があって、さらに51名に絞られた映画でした。


──撮影時期は少し前なんですよね。

2019年の春にオーディションがあって、夏に撮影でした。コロナ禍で公開まで「大丈夫かな」とずっと思っていたんですが、ようやく始まるなと嬉しい気持ちでいっぱいです。


──今回、オーディションを受けようと思ったのはなぜですか?

もともと園監督の作品をたくさん見ていたんです。そこで今回のオーディションを知って。私は女優さんを目指しているので、自分の演技がどのくらい通用するんだろうという気持ちで応募しました。


──オーディションの雰囲気はいかがでしたか?

緊張していて、正直覚えていないんです。でも私の番が終わった後がちょうど休憩のタイミングだったみたいで、園監督が「良かったよ」と話しかけてくださったことは覚えています。少し安心して、嬉しい気持ちになりました。


──その時点では配役は決まっていたんですか? 

決まってないです。私はオーディションでは切子と安子の役をやりました。


──最終的に決まった役は切子でも安子でもありませんでしたね。

51名に決まった後にワークショップが開催されて、そこでそれぞれ、やりたい役の演技を交代しながらやりました。私も何役か挑戦してみて。最終的に園監督がこの役がいいかな、と当ててくださいました。


──出演者が多い作品ですが、園監督は演技指導をどのようにしていたのでしょうか。

演技指導というより「この子たちはどういうものを見せてくれるんだろう?」という撮り方だったと思います。こうしなさい、ああしなさい、というのではなく、その人の良さをより引き出そうとしてくれる監督でした。

私、見た目と中身にギャップがあるんです。見た目からはガツガツしたタイプに見られることが多いんですが、実際には前に行けなくなったりしてしまうところもあるんです。園監督は口数が多い方では無いんですが、たぶん私のそういうところを汲み取って、パスしてくれていたように思います。

■外見と内面のギャップを「強み」に

──鈴木さんは役を作るうえで、どんなことを意識しましたか?

私は瀬奈梨々香という役を「選民思想の強いお嬢様」だと思っています。小さい頃から自分が望んだものが自然と手に入ってしまうような環境で育っている子なので、みんなが自分に合わせて動いてくれるのは当たり前でしょ、というような感性の持ち主なんだと思うんです。

私自身、見た目から受ける印象は梨々香に近いかもしれなませんが、性格はたぶん真逆なんですよ。私はどちらかというと人の顔色をうかがいがちな、八方美人な一面を持っているので。例えばメイクさんにお顔を直してもらったら、私の中では「ありがとうございます」となるのが普通ですけど、梨々香は、化粧してもらっていても止まらずに好きに動くのも当たり前、という態度だったり。そこにはギャップがあったので、梨々香の気持ちがわかるように台本を読み込んでいくというのは難しかったですね。


──ワークショップの中ではご自身で梨々香を選択して演じたんですよね。

そうですね。他の役もやりましたが、梨々香も何度か挑戦させていただきました。なぜ梨々香をやりたいと思ったかというと、今後、他の映像作品にも出させていただく時に、私はこういう役を望まれることが多いんじゃないかなと思ったからなんです。こういう気の強い役を自分の得意分野にしたいなと思って挑戦しました。


──見た目と中身にはギャップがあるということですが、見た目でキャスティングされることもあるだろう、ということですね。

今までもそういうことがあったんです。吊り目ぎみな顔立ちから、キツそうという印象に捉えられて強めの役をいただくことが多かったので、そこを自分の強みにしたいなと思いました。


──グラビアでもそういった傾向はありますか?

ありますね。めちゃくちゃ強めな女性を望まれるんです。強めな女性というものも自分の中に全くないわけではないんですけどね。

グラビアを始めた最初の頃は、強く見られやすいことに悩むことが多かったんです。優しそうな顔の人と自分だと、仮に同じ発言をしても私の方が叩かれてしまったりする。軽いジョークのつもりでも、私の顔写真と文字を並べられるとすごく辛辣な言い方をしているみたいに捉えられたりして(笑)。それである時からは、言い回しや話し方に気を付けるようになりました。

ただそれとは別に、演技の勉強をするうちにキツく見られやすいことは自分の強みにもなるんだなと気付いたんです。今は、うまく活かせたらいいなと思っています。


■女優・藤田朋子の演技に刺激を受けた

──なるほど。映画の話に戻しますが、現場で印象的だった出来事はなにかありますか? 

縄田カノンさん、上地由真さんとは3人組で登場するので、関係性について話し合ったりしていましたね。特に縄田さんは仲の良いお友達という設定だったので、初対面だったんですけど「なるべく一緒にいよう」ということで一緒に移動したり、撮影が終わった後も、一緒にマッサージやご飯に行ったりして時間を共有しました。園監督の行きつけのお店で、カレーうどんを食べたのを覚えています。ここでは言えないようなプライベートのお話もたくさんしました(笑)。


──他に、共演者の方とのやり取りで覚えている出来事はなにかありますか?

すごい役者さんはたくさんいたんですが、私は藤田朋子さんに対して特に「すごい役者さんだなぁ」と改めて感じました。私たちに対しても「ここはこうしたらいいんじゃない?」と気軽に話しかけてくださったり、現場で発声の練習をされたりしている姿に刺激を受けましたね。「こういう所が盗んでいかなきゃいけないポイントなんだな」と勉強になりました。


■グラビアデビューのきっかけは「マネージャーに下着姿を覗かれて...」

──鈴木さんは現在、女優としての活動に力を入れていますが、芸能界に入ったきっかけはなんだったんですか?

もともと私の親友が先に今の事務所に所属していたんです。それでイベントに遊びに行ったら「ついでに入らない?」と声をかけられたんです。


──それがグラビアのお仕事だったんですか?

最初はよくわからないけど水着はやだ、って思っていたんですけど、ある時たまたま控室に入ってきたマネージャーに下着姿を覗かれて「グラビアをやったほうがいい!」って言われたんです。「そんなに言うなら...」ということで始めました。


──水着は嫌だった人が下着姿を覗かれた上に「その体ならグラビアやったほうがいい」って言われるってなかなかハードなエピソードだと思いますが、それがきっかけでグラビアをやることになったのもすごいですね。

ウチのマネージャーって嘘がびっくりするくらい下手なんですよ(笑)。だけど、その時の表情には嘘がなかったんです。「嘘をつけない人が足を止めてまでこの表情で言ってくれてる。本当にそう思っているんだ」と思ったので、やってみようと思いました。


──普通は「ごめんなさい!」って出ていく場面ですもんね。現在は女優業への関心が強いということですが、それはいつぐらいからでしょうか。

グラビアで知名度が少し上がってきたことで、知名度で役をやらせていただける機会に恵まれたんです。それで『東京無国籍少女』という短編映画で主演をやらせていただくことになったんですが、その時に来てくださった役者の方々やエキストラの方々の演技が本当に上手だったんです。同じ土俵に立つのにこんなにもレベルの差があっていいのか、ってすごく悔しい気持ちになったんですよ。その時に「演技をやるなら私ももっと力をつけたい」という気持ちになりました。


■憧れは小池栄子「弱い部分を表現するのがすごく上手な女優さん」

──理想としては、グラビアを卒業して女優を専業にすることなんですか?

いや、グラビアはすごく大好きなので、需要のあるうちはずっと続けていたいなと思っています。憧れているのは小池栄子さんです。小池栄子さんは、見た目の印象は少し私と近いところもあるのかなと思うんですよ。身長もあって、胸も大きくて、顔立ちも少しキリッとされているので、私と同じように強い印象を持つ方もいると思うんですけど、それとは真逆の弱い部分を表現するのがすごく上手な女優さんだなと感じています。


──ありがとうございました。では最後に改めて、今回の作品の注目ポイントや、作品を通して伝えたいメッセージを教えてください。

私の登場シーンの演出が面白いなと思うので、ぜひ注目していただきたいです。

 それからこの映画は、スポットが当たっているのがエキストラなんですよ。クライマックスに向けて、それぞれのエキストラが苦悩したり葛藤したりする様子が描かれているので、共感できる方も多いんじゃないかなと思います。この作品で覚醒するエキストラたちのように、観ている方にも人生の主役になってほしいと思います。今、悩んでいる方や自信を持てない方にぜひ観ていただきたいです!


取材・文・撮影:山田健史

※本記事は掲載時点の情報です。

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