中村獅童、感動で言葉を詰まらせる場面も『超歌舞伎』待望の新作に33.3万人が熱狂

映画・舞台 公開日:2021/04/26 22
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幕が開き、口上がスタート。裃(かみしも)姿の獅童から、昨年春、断腸の思いで中止した「超歌舞伎」がやっと開幕できる喜びと感謝が伝えられた。例年であれば会場から大向うが飛び交うところだが、今年は残念ながら新型コロナウイルス感染拡大の影響で掛け声が禁止に。声援のかわりにペンライトを思いきり振る観客の姿に、獅童が感動で言葉を詰まらせる場面も。続いて初音ミクも登場し、両人が並んで挨拶。そして、ダイナミックなオープニング映像へなだれ込み、観るものを一気に「超歌舞伎」の世界へさらっていった。



上演された新作『御伽草紙戀姿絵(おとぎぞうしこいのすがたえ)』は、土蜘伝説(つちぐもでんせつ)が題材。七綾太夫(ななあやだゆう)と、源頼光(みなもとのよりみつ)の恋を軸に、日本を魔界にしようと企む女郎蜘蛛(じょろうぐも)の精・山姥茨木婆(やまんばいばらぎばば)といった物の怪たちの野望の顛末と、勇ましい平井保昌(ひらいのやすまさ)と袴垂保輔(はかまだれやすすけ)兄弟の活躍を描き、壮大な悪との戦いが展開する。今回獅童は、七綾太夫に想いを寄せる気品漂う源頼光と、荒々しい盗賊・袴垂保輔といった対極的な二役を演じ、その演じ分けも鮮やか。お家のため、化物退治のため、保輔が命を捨てる場面は印象的で、心の奥底に隠していた思いを兄に吐露する台詞は涙を誘う。中村蝶紫の妖気漂う山姥茨木婆役は存在感たっぷりだ。澤村國矢演じる頼光の重臣・平井保昌役は大きく、颯爽としたかっこよさ。様式美をしっかり見せながら工夫を凝らした立ち廻りや、バク転、側転など、アクロバティックな技を生き生きと見せる俳優たち、また、華やかに舞い踊る女流舞踊家たちと、超歌舞伎ならではの多彩な顔ぶれが揃った座組は楽しい。

初音ミクは全盛を誇る傾城・七綾太夫役で蠱惑(こわく)的な魅力を放つ。獅童演じる保輔が、「お前の心を盗みに参った」と口説くように見せかけて七綾太夫を斬る場面は、驚きの展開。太夫の亡魂と女郎蜘蛛が合体し、発光しながらみるみる隈取が現れ、悪へと変化していく場面は大迫力だ。この初音ミク悪役初挑戦は大きな見どころとなったが、しっとり唄い踊る姿も、指先まで美しくあでやかだった。


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