俳優の役所広司が6月30日、TOHOシネマズ日比谷で行われた「映画館に行こう!」キャンペーン2020記者会見に出席。映画界も苦境に立たされる中、“日本映画界の顔”としてキャンペーンのアンバサダーに任命された役所が、「コロナショックを乗り越えて、日本映画がもっと豊かに、誇らしいものになるよう、みんなで頑張りたい」と意気込みを語った。
新型コロナウイルスの蔓延に伴う休館から、緊急事態宣言の解除を受けて全国の映画館では順次営業を再開している。「映画館に行こう!」キャンペーン2020は、「映画館は安全で、安心で、楽しい場所である」ことを制作・配給・興行と映画業界一体となって発信すべく、実施されるもの。会見には、「映画館に行こう!」実行委員会顧で一般社団法人 日本映画製作者連盟会長の岡田裕介、「映画館に行こう!」実行委員会委員長の松岡宏泰も出席した。
アンバサダーに任命された役所は「大変光栄なこと」と口火を切り、「僕は歳だけはとっているんですが、こういう役割は本当に苦手」と苦笑い。「映画界には大変お世話になっていますので、こんなときに自分で役に立つことがあれば」と謙虚に語った。キャンペーンのひとつとして、役所をトップバッターに映画業界人10名による「YouTubeリレー動画」も展開されるとあって、役所は「トップバッターの僕が隙だらけだったら、あとがやりやすいと思う。これからいろいろなすばらしい映画人が登場してきますので、よろしくお願いいたします」と笑顔でアピールしていた。
緊急事態宣言下における自粛期間には思いを巡らせることも多かったそうで、「山中(伸弥)教授が『このピンチをチャンスに変えていかなければいけない』とおっしゃっていた。これまでも日本映画界も、いろいろなピンチをチャンスに変えて、優れた映画を生み出してきたんだと思う」とコメント。「ひょっとしたらこのコロナショックを機に、日本映画もさらに活性化して、かつて、世界の映画に影響を与えた巨匠たちのような才能が生まれるかもしれないなあと。そんな大きな夢を見て、自粛をしていました」と振り返った。
緊急事態宣言が解除されてからは、映画の現場も少しずつ動き始めているが、日々の撮影においても今後は変化を求められることになる。役所自身はまだ現場に入っていないそうだが、「どういう感じで撮影の現場が進んでいるのかと、(俳優仲間で)お互いに情報交換している」そうで、「撮影というのは、人と触れ合って成立する仕事。人と触れ合うことがエネルギーになっているので、その辺りはみんな苦労していると思う」と告白。「本番までシールドをつけてテストをして、本番だけシールドを外すというのは、非常に不自由だし、僕たちの仕事としてはリスクが大きい感じがするという話をしています」と明かす。
最後には「コロナウイルスと人間は、共存していくしかない時代になってきている」と表情を引き締めた役所。「映画は、経済と密接に関わっている不思議な芸術。撮影現場は、経済的にもこれから苦労すると思う。だけれど覚悟と努力があれば、こんな状況でも優れた作品は生まれると信じています」と力強く語り、「映画は映画館で観てもらうために、みんなで作っています。映画館でこそ、十分に映画の魅力は伝わると思う。コロナショックを乗り越えて、日本映画がもっと豊かに、誇らしいものになるよう、みんなで頑張りたいと思う」と前を向いていた。